サムスン、アリババは盛況…五輪に沸くシャンゼリゼ通りで日本が中韓企業に”国力で負ける”哀しさ
皆が一斉にカメラを構え、高さ50mの凱旋門を見上げるシャルル・ド・ゴール広場。そこからコンコルド広場を目指し、風を感じながらシャンゼリゼ通りを歩く。パリを訪れた観光客のほとんどが通るこの道を本誌記者が歩いていると、韓国を代表するテクノロジー企業・サムスンのポップアップストアが目に飛び込んできた。 「焼き肉から〝夜練〟」宮田笙子飲酒問題で再燃しそうなナショナルトレーニングセンターの選手至上主義 「ここは“Samsung Olympic Experience Store”。五輪期間限定でオープンしており、サムスンが観光客や選手団関係者に向けて新製品やオリンピックとのコラボ商品をアピールしたり、実際に手に取って体験してもらうための施設です。終着点のコンコルド広場がBMXやスケボーの会場になっていることもあり、連日たくさんの人が訪れてくれています。 世界中の注目が集まるこの場所で、我が国を代表するメーカーの商品が手に取られているのを見ると、韓国人として誇らしいですね。韓国の技術力が世界一なんだと実感できます」(ポップアップストアを訪れた韓国人ジャーナリスト) サムスンはオリンピックのワールドワイドパートナーで、五輪との連帯感を示す意味でも、このポップアップストアは重要な役割を果たしている。 そこからコンコルド広場へ向けさらに歩みを進めると、今度は中国を代表するテクノロジー企業・アリババが運営するECサイト・「天猫」(Tmall)のポップストアが。 「ここでは五輪カラーのブレスレット作りのワークショップを行っており、子供に大人気。ほかにも、中国製品を紹介したり、中国料理の試食を実施するなどさまざまなイベントがありますよ。アリババはパリ五輪のワールドワイドパートナーです。今回のオリンピックはアリババが提供するAIによって、消費電力や会場の収容能力が最適化されているんですよ。環境への貢献をアピールするために、このストアは木製素材とリサイクル可能なスチールで作られています。中国企業の技術力を示すまたとないチャンスですね。中国が世界一の技術大国だということを、訪れた人々に知ってもらいたい」(ポップアップストア店員) 中韓それぞれを代表する企業が、国の威信をかけてしのぎを削っている一方で、同じく五輪のオフィシャルスポンサーを務める日本企業・ブリヂストン、トヨタ、パナソニックのポップアップストアは見当たらなかった。 「トヨタは昔、シャンゼリゼ通りにショールームを構えていたようですが、すでに撤退しています。パナソニックやブリヂストンは、国際的な知名度で言えばサムスン、アリババと天と地ほどの差がある。出店しても、人は集まらないでしょう。悔しいですが、それが現実です。アップルやアマゾン、マイクロソフトもそうですが、現代で世界的な知名度を誇る企業のほとんどは、アリババやサムスンのようなテクノロジー企業なんです。まさかシャンゼリゼ通りで国力の差を見せつけられるとは……。日本が世界とどんどん差をつけられている気がして、哀しくなります」(全国紙経済部記者) シャンゼリゼ通りには一店舗、日本発のポップアップストアがあった。 「スポーツファッションブランドとして有名なアシックスが運営する、オニツカタイガーです。建物はブランドカラーであるイエローで装飾されており、日本が世界に誇るアーティストたちの作品を展示しています。オニツカタイガーは来年にシャンゼリゼ通りに旗艦店をオープンする予定で、今回はそのための広報活動も兼ねています。ただ、欲を言えばもう一つ、中韓企業に対抗できるような企業の店舗があれば……。『他国と競争なんかしなくてもいい』と考える人もいるかもしれませんが、こういった国際イベントで自国の技術力をアピールしておくのは、将来の国益に繋がりますからね」(同前) オニツカタイガーが日本が世界に誇る一流ブランドであることは疑いようのない事実だ。しかし、サムスンやアリババのブースの盛況ぶりを見るとやはり、日本の国力の衰退を感じてしまうのは、記者だけだろうか。
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