一世風靡したあのディスカウント店の初期に「大儲け」を予感の私が考える10倍伸びる株の見つけ方
10倍株は「転換点」に気づけるかどうか
それでは、そんな10倍株にはどうしたら気づけるのでしょうか。当然知識は必要ですが、それだけでは頭でっかちになってしまい、気づけないこともたくさんあります。 株式投資には知識だけでなく「直感」や「感性」も大切なのです。直感というと才能めいたものを感じるかもしれませんが、そうではありません。 前述のシートゥーネットワークも「①デフレが来る」「②安売りの時代が来るかもしれない」「③社長の工夫が面白い」、この3点に気づけたからこそ、見つけられたのです。 複眼経済塾では、「アツアツ銘柄コンテスト」という、塾生が最新の四季報で最も注目した銘柄を選ぶコンテストを四季報発売ごとに開催しています。驚くべきことに、このコンテストで集まった銘柄には1年で3?5倍ほどに株価が上昇するものが毎回必ず含まれています。しかも、投資初心者が選んだ銘柄が最も高騰することも珍しくありません。 このコンテストは、私が野村證券機関投資家営業部在籍時に主宰していた勉強会が元になっていて、当時、国内および海外拠点に配属されたセールスやアナリストを電話会議システムでつなぎ、投資アイデアを出し合うというものでした。まだ世の中の9割の人がガラケーを使っていた時代のことです。 その中で当時、スイスのセールス担当者が「ガンホー・オンライン・エンターテイメント(以下ガンホー)」を注目の銘柄としてピックアップしました。ガンホーといえば、大ヒットゲームアプリ「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」で知られるオンラインゲームの運営を行う企業です。この担当者は自身の海外経験から、「これからはスマホの時代がやってくる。スマホ時代には、みんながスマホでゲームをやることが当たり前になるだろう」と予測し、ガンホーを推していたのです。 ガラケーが当たり前の時代に日本国内だけを見ていた私には、全くその視点はありませんでした。結果はみなさんもご存じの通り、誰もがスマホでゲームをする時代がすぐに訪れ、ガンホーの株価も驚異的に上がったのです。 デフレもスマホゲームも、日々目の前で起こっていることを見逃さず、ちょっと気にかけるだけで気づけたことです。 ▽渡部清二(わたなべ・せいじ)複眼経済塾 代表取締役・塾長 1967年生まれ。1990年筑波大学第三学群基礎工学類変換工学卒業後、野村證券入社。野村證券在籍時より、『会社四季報』を1ページ目から最終ページまで読む「四季報読破」を開始。25年以上継続しており、2024年秋号の『会社四季報』をもって、計108冊を完全読破。2013年野村證券退社。2014年四季リサーチ株式会社設立、代表取締役就任。2016年複眼経済観測所設立、2018年複眼経済塾に社名変更。清泉女子大学にて就職講座を6年担当するなど、投資家以外への教育にも熱心に取り組んでいる。『会社四季報の達人が教える10倍株.100倍株の探し方』(東洋経済新報社)がベストセラーになり、その後著書多数。