トランプ次期米政権の政策課題、法廷闘争の対象となるのは必至の情勢
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領は、バイデン政権時代の政策を速やかに撤回し、自身の政策課題を積極的に実行するという選挙公約の実現に取り組む上で、おなじみの敵に立ち向かうことになる。それは米国の法制度だ。
トランプ政権1期目では、同氏が大統領令やソーシャルメディアへの投稿で打ち出した政策、物議を醸す人事などが数カ月から数年にわたり法廷で争われ、こうした一連の訴訟が迅速な改革を阻んだ。一方でこの力学はトランプ氏の退任後に有利に働いた面もある。同氏を巡る少なくとも幾つかの刑事事件については、控訴と遅延によって時間切れとなった。
民主党の州当局者や左派グループは、法的な異議申し立てを行うと表明している。大統領選でのトランプ氏の公約である不法移民の大規模強制送還や広範な関税、連邦政府機関の再編成、その他の抜本的な改革は全て法廷で争われると予想されている。
トランプ氏が新たに司法長官への起用を発表したパム・ボンディ氏は、就任すればトランプ次期政権の新たな行動を擁護しつつ、継承された裁判を決着させるかやどのように終結させるかを模索する必要に迫られるだろう。バイデン政権に対する係争中の法廷闘争は、環境保護や処方箋薬の価格設定、人工妊娠中絶へのアクセスや職場の安全まで多岐にわたる。
共和党や法曹界のトランプ氏の盟友は、今回は法廷闘争をかわす準備が整ったと慎重ながらも楽観している。しかし、トランプ氏に反対する勢力も同氏の政権1期目から教訓を学んだとする。
ニュージャージー州のプラトキン司法長官(民主)はインタビューで、数カ月かけて法的戦略を練ってきたと発言。「1期目のトランプ政権が全米の数多くの人々に恩恵をもたらす法律や政策を守ることを拒否した際、われわれは恐れずに対応した」とし、「連邦政府を訴えるために常に死に物狂いで取り組むわけではないが、わが州の人々の明確な利益になると考えれば行動する」と話した。