扇動的なフェイク主張を続けるトランプ氏「虚偽情報が横行する理由は、移民に対する嫉妬」ニューヨークのZ世代が強く反論
◆搾取している対象を見誤ってはいけない
実際の移民の犯罪率は、アメリカで生まれたアメリカ市民よりもずっと低いことがわかっています。移民を嫌う人々の理由のなかには、「外からやってきて、自分たちのお金や職を奪っていく」という考えがありますが、実際には移民がアメリカ市民の嫌がる仕事を引き受け、経済を支えているのが事実です。 では、なぜそれが“奪っていく”という発想に至るのか。その理由をラボのZ世代が考察します。 メアリー:問題は、移民がここ(アメリカ)に来ると「フリーカード」をもらえるという誤解があることだと思う。この前、オハイオ州スプリングフィールドで人々にインタビューをしている人の映像を見たんだけど、インタビューを受けた人の1人が「ハイチ人たちは政府から無限に使える魔法のカードをもらっているんだ」なんて言っていた。だけど、そんなわけはないよね。たしかに何かしらもらっているのかもしれないけれど、こういう虚偽情報が横行する理由は、移民に対する嫉妬からきていると思うよ。 シャンシャン:私もある男性が移民問題について話しているインタビューを聞いたことがある。彼は「なぜ移民は法を犯してまで来るの? 書類を整えればいいのに。グリーンカードを手に入れるのは簡単なのだから、弁護士にお金を払って手続きをすればいいじゃないか」と言っていた。彼は、永住権や市民権を得るのが、まるで「弁護士にお金を払ったら次の日に手に入る」というようなシンプルなものだと話していて、あまりにも事実と違うから驚いた。 ノエ:結局のところ、合法であろうと違法であろうと、移民である限り大半は経済的に低い階層に属しているよね。この国で世代を超えて繰り返されているのは、白人、男性、富裕層が上にいて、他のすべての人々を搾取し、搾取されている側、つまり経済的に低い層は自分たちが互いに搾取し合っていると信じ込まされている。そういう構図なんだよ。 本当に搾取しているのは、白人・男性・富裕層など少数の既得権者なのに、移民に対する不理解や虚偽の情報により、自分たちが移民に搾取されていると信じている。それが移民に対する反感の正体のようです。「これはアメリカに限らず、ヨーロッパでも、そして日本でも起こりうることなので注意が必要だと思います」とシェリーは呼びかけます。 さらに、「移民が自分たちアメリカの白人にとってかわる」という恐れも、トランプ陣営から大いに利用されています。その恐れの背景にあるのは、以前もお伝えした通り、2045年には移民の増加によりアメリカの白人人口が過半数を割るという現実です。 少子化するアメリカが世界最大の経済大国でいられるのは、移民の流入が続いているからです。だからこそ、Z世代はダイバーシティ溢れる社会で共存していこうと考えています。「トランプが当選すれば、移民やマイノリティへの偏見に根ざしたアメリカが戻ってくる可能性を、彼らZ世代の多くは強く警戒しています」とシェリーはコメントし、話題を締めくくりました。 (interfm「NY Future Lab」2024年10月23日(水)放送より)