(写真:UchuBiz)

東京理科大学発のロケット開発スタートアップであるSPACE WALKERは10月8日に事業報告会を開催。その中で、同社代表取締役CEOの眞鍋顕秀氏は、文部科学省の「中小企業イノベーション創出推進事業」（SBIR フェーズ3）宇宙分野のステージゲート審査に通過しなかったことについて、要因を説明するとともに、評価に対する考えを率直に語った。 　中小企業イノベーション創出推進事業（Small Business Innovation Research：SBIR制度）は、スタートアップなどの研究開発を促進するために、国が補助金などを交付する制度のこと。2023年9月にフェーズ1として、インターステラテクノロジズ、SPACE WALKER、将来宇宙輸送システム、スペースワンの4社が採択され、2024年9月までに最大20億円の補助金が各社に交付された。 　続いて、最大50億円が交付されるフェーズ2には、この4社のうち3社が採択されることになっていたが、ステージゲート審査の結果、SPACE WALKER以外の3社が選ばれたことが、9月19日に発表された。 審査結果に「ちょっと納得いっていない」 　事業報告会の冒頭の挨拶で、「残念ながらステージゲートには進めなかったが、立ち止まることなく、より一層国家のミッションを獲得しながら進めていきたい」と意気込みを語った眞鍋氏。ただ、その後の報道陣向けの囲み取材では、「ちょっと納得いっていない」と、審査結果に対する本音もこぼした。 　「（審査について）基準は最低限満たしていると評価いただいており、ビジネスモデルについても非常に面白いとのことだったが、結果としては不確実性が高いということで、なかなか評価いただけなかったと聞いている。われわれが技術的に劣っていたわけではなく、採点の配分によってクリアできなかった」（眞鍋氏） 　具体的には、海外企業と交渉中の上段ロケットの調達について不確実性が高いと判断されたと、同社取締役CTOの米本浩一氏は明かす。また、同社が打ち上げを表明している、北海道大樹町の宇宙港「北海道スペースポート」ともコミュニケーションを取りつつ調整を重ねているが、その報告内容についても、審査では不十分と指摘を受けたという。 　「この回答に対しては、ちょっと納得いっていないところもある。SBIR制度の趣旨からすれば、不確実性があったとしても、競争力の高いイノベーションを起こすことが目的であったはず。日本がちゃんとイノベーションを推進できるような審査体制であってほしい」（眞鍋氏） 　なお、もしフェーズ2に通過していれば得られるはずだった最大50億円の補助金を補うために、同額程度の資金調達を計画しているという。その方法については、エクイティファイナンスとデットファイナンスのどちらも可能性に入れていると説明した。