【ブリーダーズカップ】青空のデルマーで見せた爽快な走り
■ブリーダーズカップマイル
ジオグリフ、テンハッピーローズが挑んだブリーダーズカップマイル。 フランスのラマチュエル、アイルランドのディエゴヴェラスケスが取り消し、わずか10頭立てで行われた一戦。 ジオグリフ5番人気、テンハッピーローズ6番人気という具合に伏兵扱いだったことで注目度は低めだったが、フタを開けてみれば見どころたっぷりのレースをして見せた。 スタートこそ五分の形で出た2頭だったが、序盤から積極的に動いて行ったのはテンハッピーローズ。 アメリカのゴリアドが逃げるのをマークする形でテンハッピーローズが付けて、その後ろにジオグリフという形で小回りコースを意識してか、2頭揃って前に付けるという意欲的なレースを見せた。 馬群がひと固まりのまま3コーナーを過ぎると、それまでゴリアドを逃がしていたテンハッピーローズが鞍上・津村明秀のゴーサインに鋭く反応。 4コーナーを回って直線を回ったところでテンハッピーローズが先頭に立ってみせた。 このテンハッピーローズを追いかける形で迫ってきたのがアメリカのヨハネス、そしてゴドルフィン軍団の今年のエース、ノータブルスピーチの2頭。 2頭とも外から猛然と迫ってくるがジリジリとしか伸びず、テンハッピーローズとの差がなかなか詰まっていかない。 このままテンハッピーローズが逃げ切るかと思われたが、残り100m過ぎ、ついにテンハッピーローズがヨハネス、ノータブルスピーチに捕まった。 この2頭のたたき合いになるかと思われたが、ノータブルスピーチよりもさらに外から伸びてきたアメリカ勢の伏兵、モアザンルックスがゴール直前で突き抜けて1着。 内で粘ったヨハネスが2着に入り、アタマ差の3着でノータブルスピーチ。その半馬身遅れた4着にテンハッピーローズが食い下がり、5着にはジオグリフが飛び込んだ。 惜しくも敗れたが、残り100mの地点では4頭横並びになるなど、最後まで見せ場を作ったテンハッピーローズ。 14番人気でヴィクトリアマイルを制した実力は決してフロックではなかったと実証する走りを見せ、鞍上の津村もレース後のインタビューで「4コーナーで先頭に立った時は、夢を見ましたね」と手ごたえを語るほどのパフォーマンスを披露した。 結果的にブリーダーズカップターフのローシャムパークの2着が最高着順となり、3年ぶりとなる日本馬のブリーダーズカップ制覇は果たせなかったが、挑戦するだけで精いっぱいだったかつてとは異なり、どの馬も各レースで見どころたっぷりの走りを見せたのは確か。 彼らが国内で走る時、そして再び海外に挑む時、いったいどんな走りを見せるか……今から楽しみでならない。 ■文/福嶌弘
テレ東スポーツ