進次郎氏への「失礼質問」が暴いた低迷日本の縮図 「弱点を補ってくれる仲間を作る」の重要性
協力してくれる人がいないから孤立化がすすみ、自分1人でいろいろ頑張らなきゃいけないと考えるようになる。さらに、頼るものはお金しかないから、お金を増やすことを考えて協力者が現れないという悪循環に陥っていく。 それよりも、人を楽しませるとかみんなの不便を解決するとか、他の人の幸せが含まれる目標を見つければ、仲間はたくさん増えて、いろいろなことが実現しやすくなると学生向けに話している。 社会全体では、そもそもお金を増やすことができない。最近、利上げが行われて、金利によって全体のお金が増えると信じている人もいるのだが、そこには大きな誤解がある。
拙著『きみのお金は誰のため』では、お金と社会の仕組みを説明しているが、お金を奪い合うことよりも、未来を共有することの重要性を経済的な視点から説明している。 七海はまだ眉間にしわを寄せていた。 「お金の移動はわかります。ですけど、金利の分だけ、お金は増えるのではないでしょうか。日本は低金利ですが、預金していれば利息がつきますよね」 ボスは「いや」と一度首を横に振ってから説明を始めた。 「利息もまたお金の移動なんや。利息ってのは、銀行がもうけたお金を、預金者に払っているだけや。空中からパッと出てくるわけやない。金利の分だけお金が増えると思うのは、よくある誤解や」
(中略) 「そういう話やない。値切って安く買おうとするのも、客に高く売りつけることだけ考えるのも、お金の奪い合いや。共有できることは他にある。少なくともおばちゃんは、君がおいしくどら焼きを食べる未来を共有してくれていると思うで」 優斗はテーブルに1つだけ残ったどら焼きを見つめながら、その言葉の意味を考えた。 家族や近所の人たち、部活の仲間だって、未来の幸せや目的を共有している。たしかに、お金は奪い合うことになる。だけど、共有する未来をいっしょに思い描ければ、協力することはできそうだ。