「2021名古屋市長選・河村市政12年の検証」第3回 興味は「マスコミ受けする政策」だけ? 職員まかせの重要課題
市民がもっと深く関われる道を
河村市長にとって関心の薄い、あるいは薄れてしまった施策はどのように進められてきたのか。先の元幹部は「口を挟まれないので逆にやりやすい。ほめてはもらえないが、うるさくも言われない」と打ち明ける。一方、他の職員からは「地道な政策には市長のやる気も予算も付いてこない」との嘆きも聞こえる。 「そんなことでいいのか」と憤るのは、30年前に市内で環境系の市民団体を立ち上げ、現在は地域電力会社の役員などを務める萩原喜之さんだ。 「市長は市役所という会社の経営者。社員をサポートしてくれない会社では、本当に仕事をしたい人がダメになってしまう。メディアも市長のパフォーマンスに惑わされていないだろうか」と危機感をあらわにする。その上で、行政だけでは限界のある課題を市民やNPOが深く関わって一緒に解決する体制を作るよう、各候補に働きかけるつもりだ。 リコール問題や県と市のいがいみ合いなどに隠れがちな、しかし市民生活にとって重要なこうした政策にも光を当て、市民的な議論を深められるか。伝える側の工夫も問われている。 (関口威人/nameken) * 4月11日告示、25日投開票名古屋市長選を前に、河村市政の12年を全3回の連載で検証した。名古屋市長選には、4期目を目指す現職、元名古屋市議会議長、元会社員が出馬の意向を示している。