箱根随一の老舗旅館〈強羅花壇〉にオープンした〈鮨 かだん〉で、一級の江戸前鮨を味わう!
つまみの定番は、〈鮨 よしたけ〉のスペシャリテであり、〈鮨 かだん〉でも通年提供されている煮鮑。丁寧に火が入れられており、刃が細かく入れられているから、弾力を楽しめながらも、やわらかな食感に仕上がっている。濃厚な至味の肝ソースをたっぷりと付けて食べると、さらに旨味が増す。食べ終えた後は、赤シャリを入れてもらえるので、一品でニ度美味しい。日本酒にもぴったりの酒肴だ。
次は握りを紹介しよう。 墨烏賊は甘味ととろみが抜群で、軽く柑橘が香る。真鯛は非常にしっとりとしたテクスチャーと、慎ましやかな上味を携えている。
江戸前の“仕事をする”光り物が得意という高橋さん。小肌は軽やかな締め具合で、滋味がふんだんに感じられる。北海道出身の高橋さんらしく、桜鱒も出色だ。上品な味わいで、生姜を乗せてとてもさわやかな仕上がりとなっている。 平貝は醤油焼きにして、香りが豊かで心地よい歯ざわり。海苔を巻いて、香ばしい磯の香りをまとう。雲丹は握りではなく、小鉢で提供する〈鮨 よしたけ〉スタイル。バフン雲丹をからめたシャリの上に紫雲丹をのせ、存分に雲丹を堪能できる。木さじですくって、たっぷり食すのがいい。 穴子は笹の葉の幽香をまとっていて、とても上品。非常にやわらかく、口の中で慎ましやかにほどける。
シャンパーニュをはじめとしたワインがグラスで提供されており、日本酒の品揃えも豊富だ。ハウスシャンパーニュの“ヴァンサン・ブロシェ BSA プルミエ・クリュ ブリュット”(1900円)は50カ月熟成のコクのある一本。ピノ・ノワール主体で上品な味わいなので、酒肴とエレガントにマリアージュする。“みむろ杉 純米吟醸”(2200円)は低温長期発酵をさせており、山田錦のふくらみある甘味としっかりとした旨味が感じられる日本酒。つまみはもちろんのこと、握りにもしっかりとマッチする。“よしたけボトル 伯楽星 純米大吟醸”(3400円)は〈鮨 よしたけ〉でも提供されている特別ボトル。華やかな吟醸香が広がり、繊細な白身魚の味わいをくっきりと浮かび上がらせてくれる。 箱根は日本でも有数のリゾート。そんなところで、銀座の星つき鮨店のエッセンスが味わえるなんて稀有な機会。〈鮨 かだん〉で一級の鮨を堪能してから、箱根旅行を満喫するなんてプランはどう?
●鮨 かだん
住所:神奈川県足柄下郡箱根町強羅1300 営業時間:ランチ(金~日曜)12:00~、ディナー18:00~ 定休日:月・水曜 TEL:0460-82-3332 ※サービス料別
文=東龍