日本財団HEROsとJリーグがカンファレンスを開催 ~トッテナムが日本で惜しみなく伝えてくれた「サステナビリティ」~
今夏も海外のサッカークラブが昨年以上に来日して全国各地で試合を行い、話題を呼んだ。中でも大きな印象を残したのが、イングランドの名門トッテナム ホットスパーだった。試合そのものだけでなく、日本財団によるアスリートと共に社会課題解決の輪を広げていくことを目的とした「HEROs~Sportsmanship for the future~」(以下 HEROs)プロジェクトと、公益社団法人Jリーグが7月25日に主催した「サステナビリティカンファレンス」に、トッテナムのアンジェ・ポステコグルー監督、同クラブOBのレドリー・キング氏、ビジネスサイドの幹部たち、そしてなんとダニエル・レヴィ会長も急きょ来日が決まって登壇した。 丸一日カンファレンスに参加して、余すことなくトッテナムのサステナビリティにおける取り組みについて説明した。カンファレンス来場者との質疑応答や、ネットワーキングにも参加して交流を深めた。これまでもトッテナムのような海外ビッグクラブが来日しているが、こういったビジネスカンファレンスに会長や幹部が来日して登壇することは非常に珍しい。また、登壇はしなかったものの、Jリーグで何年にもわたって監督をつとめたオズワルド・アルディレス氏も出席していた。
驚かされたチームの日本ツアーへの力の入れ具合とサポーターの熱気
北ロンドンに拠点を置くトッテナムは、韓国代表FWソン・フンミン、イングランド代表MFジェームズ・マディソンといった日本でも人気のある選手が在籍し、またかつて横浜F・マリノスでリーグ優勝に導いたアンジェ・ポステコグルーが監督をつとめるなど、日本のサッカーファンたちにも馴染みのあるチームだ。そして、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、チェルシーといったイングランドの人気クラブなどに、負けず劣らずのサポーターがいる。 日本にも多くのサポーターがいることもあり、日本在住のイングランド人サポーターや日本人サポーターが公開練習や試合に大挙してチャントを歌ったり大声援を送ったりと、訪れていた記者たちを驚かせていた。7月27日に東京・国立競技場でヴィッセル神戸と試合を行い、54,255人(試合は3対2でトッテナムの勝利)もの観客が足を運ぶなど、今夏の海外クラブのジャパンツアーの中では最多の入場者数だった。 トッテナムがジャパンツアーに対して、ブランド認知やビジネス面で力を入れていると感じさせられた理由の一つが、試合会場におけるオフィシャルショップの設置数だ。他の海外クラブも来日時に臨時のオフィシャルショップをスタジアム横に設置することが多いが、今回のトッテナムの場合はその設置数が一際多かった。 筆者の目視ではあるが、少なくともスタジアム周辺に3カ所、スタジアム内にも1カ所設置してあるのを確認した。大抵はスタジアム外にのみ設置し、多くても2カ所。クラブの規模によっては1カ所のみということもある。たいてい試合開始1時間前には長蛇の列ができ、商品を購入するまでに30分以上待たされるケースもあるなど、ファンにとってはストレスに感じられることも多い。 どこまでトッテナム側がそういったことを意識していたのかはわからないが、複数箇所でグッズを買える場所が用意されていたのは、少なくとも来場者にとってありがたかったはず。トッテナムにとっても、自分たちのグッズを多くの人に見せられたという点で、日本のトッテナムのファンだけでなく来場したサッカー好きにも目を引いただろう。 そして、試合そのものと同様に大きな印象を残したのが「サステナビリティカンファレンス」への参加だった。