日本陸軍の”知られざる”「戦場でのトイレ事情」を”全公開”、人は「極限状態でいかに用を足すのか」の”ヤバすぎる現実”を明かす…!
来年2025年は太平洋戦争終結から80年の節目となる。関連書籍の刊行が相次ぐ中、ひときわユニークな本が話題になっている。日本陸軍に詳しい軍事史家、藤田昌雄氏が手掛けた『陸軍と厠(かわや) 戦場の用足しシステム』(光人社NF文庫)がそれだ。 【画像】軍事誌発『伝説の航空機本』が描いた「世界航空機イラスト」が凄い…! 糞尿排泄に伴う衛生対策は感染症などの蔓延を恐れる軍隊生活で最重要事項だったが、敵弾飛び交う中で、凍傷のリスクのある極寒地などで兵士たちはどのようにトイレを使い、衛生管理体制を維持していたのか。ほとんど語られてこなかった「戦場のトイレ事情」を綴った異色の戦史から一部抜粋・再構成してお届けする。
大便は「1日150グラム」が日本陸軍の基準
日本陸軍では、将兵1日あたりの屎尿の排泄量を概算で「大便」が1日約150グラム、「小便」が1日約1.2リットルと想定。平時の兵営での便所の設置基準は、兵員30人に対して「小便器」1個、兵員10人に対して「大便器」1個が設置された。ひとり立ちの小便所の幅は約55センチを基準とした。
便所への転落防止対策は、周辺に白布片や白砂で目印
野戦での露営地における便所は、部隊単位での露営の場合は衛生面から極力便所を構築することが奨励されており、露営期間によって「短期間の厠」と「長期間の厠」の2タイプの厠を露営地近郊に設置した。「長期間の厠」は将兵1000人に対して幅1メートル×深さ1メートル以上×長さ40メートルを基準として溝を地面に掘って便所を設置した。 排泄に際し、小便は2枚の踏板の上で立ったまま行い、大便は二枚の踏板の上でしゃがんで行う。大便時に踏板を踏み外して溝内への転落防止と踏板の折損による落下防止に注意が払われた。夜間の転落防止対策として、可能な限り溝の周囲と踏板の末端に白布片や白砂などの目印をつけた。
極寒地では排尿後に袴のボタンのかけ忘れに注意喚起
満州や蒙古方面の冬季露営での便所使用については、凍傷防止の注意喚起が行われた。例えば、小便の際は「防寒被服」を重ね着しているため、尿を被服にこぼさないことが徹底された。また凍傷防止対策として、排尿後は袴のボタンのかけ忘れに注意すること。特に股間部分が開いた状態で乗馬を行う乗馬部隊では注意の喚起がはかられた。 満州などの極寒地の兵営では、地中設置タイプの厠を用いた。用便に際しては、便器にしゃがみ込む際、凍結した屎尿塊を鉄棒で叩いて粉砕していた。なおこの際、凍結した屎尿塊の被服への飛散に注意を払わないと、暖房のきいた兵室に戻ったときに屎尿塊が溶けることで惨事になる。