【ビジネスの極意】有給消化とは?|有給休暇の期限、消化しない場合の罰則を解説
働き方改革で有給休暇の消化を奨励する会社も多いことでしょう。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」から、よりよい有給消化の仕方を学びましょう。 * * * 社会人になってから話の話題によく挙げられる「有給休暇」は、心身の回復を促すために設立された制度です。そして、有給を利用することを「有給消化」と言います。 一方で、2019年4月に働き方改革関連法が施行されたことで、有給消化の義務化など、新しいルールが設けられました。事業者は、従業員に対して効率的な有給消化を促す必要が出てきているのです。 そこで、本記事では、マネージャーや管理職、人事担当者に向けて、有給消化について徹底解説していきます。
有給消化とは?【年次有給休暇を取得すること】
有給消化は、年次有給休暇を取得することを指します。基本的に、従業員は好きなタイミングで年次有給休暇を取得することが可能です。 ただし、企業の「雰囲気」によっては、有給を取得するのが好ましくないということで、有給消化ができずにいる社会人も多い印象を受けます。 ◆有給とは? 厚生労働省の「確かめよう労働条件」によると、年次有給休暇は「労働者の心身の疲労を回復させ、また、仕事と生活の調和を図るために、労基法が労働者の『権利』として認めた有給の休暇」とのことです。 有給を取得すると、その日が休日になるものの、本来労働する分の賃金が発生します。労働者目線では、非常にありがたい制度だと言えるでしょう。 ◆有給休暇の条件 有給休暇の権利が発生する条件は以下の2つです。 ・雇入れの日から6か月経過していること ・その期間の全労働日のうち8割以上出勤していること この2つの条件を満たしているのであれば、正規雇用労働者だけでなく、アルバイトやパートタイマーなどの非正規雇用労働者でも有給休暇の権利が発生します。 逆に言うと、正規雇用労働者でも、雇入れの日から6か月経過していない新入社員には、有給休暇の権利が発生しません。 また、年次有給休暇の日数は、所定労働時間、継続勤務年数が多ければ多いほど増えていきます。そのため、ベテラン社員であればあるほど、年次有給休暇の日数が増えるということです。 ◆有給消化の義務化 2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、企業は「10日以上の年次有給休暇を付与されている労働者に対して、年5日の年次有給休暇を取得させること」が義務付けられました。 そのため、例えどんなに従業員が働きたくても、年に5日は有給休暇を消化させなければなりません。 また、この5日間分の有給は、労働者の意見を聴取する前提で、基本的には会社側が時季を指定することが可能です。ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始に指定されることが多いと言えます。 ◆有給消化の期限 年次有給休暇は発行の日から2年間が時効です。そのため、労働者は年次有給休暇が発行されてから2年以内に有給を消化する必要があります。 年次有給休暇が付与されるタイミングは、雇入れされてから6か月が経過した日なので、この日が「有給休暇発行日」となります。 例えば、4月1日に入社した人の場合、10月1日が発行日です。この日から2年以内が有給消化の期限となります。 ◆有給消化の罰則 年10日以上の有給を付与される従業員が、基準日から1年以内に最低5日間の有給を消化できなかった場合、対象の労働者1人につき30万円以下の罰金が科されます。1日6万円を超える賃金が発生する従業員はほとんどいないはずなので、5日間の有給を消化させた方が、どう考えても合理的です。 最低5日間の有給消化は、企業側に課せられた義務なので、時季を指定することが可能になっています。 ◆退職時の有給消化のルール 基本的に、退職したあとは、それまで残っていた年次有給休暇は全て破棄されてしまいます。そのため、労働者としては、退職する前までに有給を消化する必要があるでしょう。 また、企業側も、退職者が有給を消化する前提で、退職日を決定したり、業務引き継ぎのスケジュールを決定したりする必要があります。