軽トラの欧米輸出、10年で10倍に 農業現場でも人気
日本で“農家の足”とも称される軽トラックの欧米向け輸出が伸びている。特に輸出台数が多い米国では、国内で定着している大型のピックアップトラックより小回りが利き、値段も手頃ながら悪路も力強く走れると、農業現場でも導入される。中古車両で、主に軽トラが該当する区分の欧米向け輸出は2023年で7797台で、10年前の9・6倍になった。 財務省によると、主に軽トラが該当する車両(総重量5トン以下、シリンダー容積2000立方センチ以下、中古の貨物自動車)の輸出台数は米国向けが23年で7050台で同9倍。欧州連合(EU)向けは23年で747台と米国向けより規模は小さいものの、同24・9倍と大きく伸びている。 米国では、日本の軽トラは元々、ピックアップトラックに比べエンジン音が静かなことが好まれ、狩猟をする人を中心に10年以上前に普及したとされる。一方、日本中古車輸出業協同組合によると「今は、狩猟よりも農作業の現場で使われていることが多い」。
小回り良く、悪路にも強い
同組合によると、小型で使い勝手がよく、悪路も走れることから、4輪駆動の軽トラが人気。数百万円するとされるピックアップトラックより安価で、「日本のオークションでは、米国向けの輸出業者が、30万~40万円で軽トラを落札し、現地で100万円ほどで売っている」という。 米国では原則、国内仕様と異なる右ハンドルの車の輸入は認められていない。一方、製造後25年以上経過した車両は、クラシックカーとして輸入が認められる制度がある。そのため、現在は1999年以前に日本で販売された軽トラが現地を走る。州によっては、日本の軽トラを車両として登録できない場合もある。 (森市優)
日本農業新聞