「旧車會の雑誌」が新創刊、驚きの販売戦略とは…「俺らの読者は書店になんか行かねえんだよ」
「はみ出し者たち」に生きる希望を与える居場所に
――雑誌作りを通して、社会にどんなメッセージを伝えたいですか? 岩橋:俺は作品にメッセージを込めるのは嫌いなんだ。こないだ『ゴジラ-1.0』を観たんだけど、ずーっとなんか監督のメッセージがちらついて、早送りで観たよ。ただ、確かにメッセージはある。それは……ボケ防止だよ。昔を懐かしんでるだけじゃ全然ダメなんだよ。今も現役で暴れ回ってるつもりでいねえと、すぐボケちまうからな。だからこそ今回、俺はもう一度雑誌作りの最前線に立とうと決めたわけよ。 ――かつての『チャンプロード』の読者も既に初老、あるいは高齢者と呼ばれる世代にさしかかってますよね。 岩橋:そうなんだ。俺らの読者の中にはさ、歳を取って行き場のないオヤジもたくさんいるんだよ。住む場所もない、金もない、頼る人もいない。そういう人たちの中には、わざと罪を犯して刑務所に入ろうとする人もいるくらい追い詰められてんだよ。俺は、俺らの雑誌が、そういう社会の枠からはみ出た者たちの最後の「居場所」になれたらいいなって思ってるわけよ。規制とか常識とかに負けない、反骨精神を持った雑誌を作り続けることで、彼らに生きる希望を与えられたら、それが俺の勝ちだよな。
“若い衆たち”にも読んでもらいたい
――最後に今後の意気込みをお願いします! 岩橋:とにかくこれまで培ってきたノウハウを無駄にはできねえからな。次の世代にバトンを渡すためにも、俺らはもう一花咲かせないとな。「ボケてなんかいられねえ」「まだまだ現役でガンガン行くぜ」っていう気概は、誰にも負けねえつもりだよ。俺らにはこの『愛旧ジャパンスタイルブック』にしかない個性と魂があるからよ。それを胸に、最後まで自分らのスタイルを貫いて、読者と一緒に生き抜いていくつもりだからな! そうなったら、俺らの勝ちだろ? ま、若い衆にはついてこれるか分かんねえけどよ、ハハハ! ――本日は貴重なお話をありがとうございました! これからの『愛旧ジャパンスタイルブック』の活躍を楽しみにしています! 岩橋:こちらこそインタビューしてくれて、ありがとうよ。俺らの想いが少しでも伝わったなら嬉しいね。そうそう、もし機会があったらうちのイベントの取材にも来てくれよな。カッコいいバイク乗りのオヤジたちをたっぷり見せてやるからよ。あとは、若い衆たちにもぜひうちの雑誌を読んでほしいね。「古き良きバイク乗りの生き様」ってのを知ってもらえたら、きっと刺激になると思うんだ。これからもイケイケでやっていくつもりだから、応援してくれよな! よろしくどうぞ! <取材・文/昼間たかし> 【岩橋健一郎】 青少年不良文化評論家。1966年12月24日生まれ。少年時代を暴走族として過ごし、引退後は当時の経験を活かし、『月刊チャンプロード』(笠倉出版社)を創刊立ち上げ。20年間以上暴走族を追い続けているジャーナリストとして英国BBCに取材を受けるという経験も。現在も各種メディアで不良少年の声を代弁する、いわば、「ヤンキー界の重鎮」的存在。 【昼間たかし】 ルポライター。1975年岡山県に生まれる。県立金川高等学校を卒業後、上京。立正大学文学部史学科卒業。東京大学情報学環教育部修了。ルポライターとして様々な媒体に寄稿。著書に『コミックばかり読まないで』『これでいいのか岡山』
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