「旧車會の雑誌」が新創刊、驚きの販売戦略とは…「俺らの読者は書店になんか行かねえんだよ」
「型」にはまらず、自分たちのやり方を貫く
――雑誌作りでも「規制」や「常識」に挑戦しているそうですが、具体的にはどんなことをしているんですか? 岩橋:もちろんだよ。他の雑誌みたいに「型」にはめられたくないんだよ。なるべく文章を減らして、いかにバイクをかっこよくみせるか、自分らのやり方を貫いてるんだ。それが他誌には真似できない、俺らの強烈な個性になってるわけよ。 ――そんな雑誌作りを支える体制があるわけですね。 岩橋:そう、最初に立ち上げを決めて編集長に電話した時には「はい」か「イエス」のどっちかで答えろから始まったんだ。会議だってZoomなんか使わないし、予定を決めてやったりなんかしない。思いついたら集合して、そのまま納得するまで朝になってもやってる。一度赤入れしてデザイナーに投げても、やっぱり変えようとかやりたい放題だ。担当してくれたデザイナーも有り難いよ。正月も元旦だけ休んで付き合ってくれたし。これも、いいものをつくろうという意志でまとまってるからだよな。創刊号で「GSX400E KATANA」を1台プレゼントしたけど、これも宮入編集長が、読者のためにって喜んで自腹を切ってくれたんだぜ。こないだのイベントで当選者が決まったけど、若いヤツが当選したんで本当に嬉しかったよ。
一流カメラマンと組み、「他誌には真似できないクオリティ」に
――その雑誌なんですが、全ページカラーなのは当然ですし、かつての『チャンプロード』みたいな、ダサさも排除してますね。 岩橋:写真がめちゃくちゃ大事だからな。うちの読者はさ、雑誌の文章なんかほとんど読まねえんだ。ページをパラパラめくって、カッコいいバイクの写真を見るだけで満足しちゃうんだよ。だから俺らは文字は最小限に抑えて、誌面の大半を写真で埋め尽くしてるわけ。その代わり写真のクオリティにはめちゃくちゃこだわってるんだ。例えば誌面に統一感を出すために、全ページの背景を真っ黒にしたりさ。細部まで計算し尽くしているんだよ。 ――とにかく、写真が美しく。まったくこのジャンルに興味ない人でも「カッコイイ」と感じる出来になってますね。 岩橋:この写真『チャンプロード』の時に仕事してたカメラマンが担当してくれたんだ。ところが、連絡してみたら今や一流のカメラマンになって企業の案件とか、誰でも知っている大スターの写真も多く手がけているというじゃないか。なので、名前は出せないけど、めちゃくちゃいい仕事をしてくれたよ。そういう一流の人たちと組んで、他誌には真似できないクオリティを追求してるわけよ。