トランプ支持者増加の理由は?大越がインフルエンサー直撃 米大統領選オハイオ州
■大越が見た“トランプ王国”
(Q.トランプ支持者の方々それぞれの心のグラデーションを感じて驚きました。実際に取材をしてどう感じましたか?) 大越健介キャスター 「実際にトランプ支持者の日常生活のなかでお会いすると、皆さん非常に善良で、我々の取材にも丁寧に応じてくれる方が多いです。長距離トラックのドライバーの皆さんが口をそろえて言うのが、燃料費がかかって商売にならないというぼやきでした。経済への不満は得てして現在の政権に向けられがちではありますが、アメリカの庶民の一定数が『トランプ政権の頃は物価も安定していて良かった』とノスタルジーを込めて振り返っていたのが印象的でした」 (Q.足元の生活を良くしたいという思いが、トランプ氏に集まっているということですか?) 大越健介キャスター 「それは大きいと思います。そして、もう1つ感じたことがあります。トランプ氏に対する信頼が、伝統的な共和党支持者の間にも根付いてきているということです。8年前にトランプ氏が頭角を現した時、その破天荒な言動には、折り目正しい共和党支持者のなかには眉をひそめる人も少なくありませんでした。しかし、例えば今回取材した車の販売業者のフランコさんは『最初は自分もトランプ氏を奇妙な役者のように思っていたけれど、今は決してそうは思いません。自分のように自らリスクを取って商売をし、努力して稼いで自立して税金を納めてきた人間にとって、トランプ氏は価値観を共有できる人物。少なくとも共和党の候補者としては、トランプ氏は最善の人物だと思います』と話していました」 (Q.ハイチ系移民がペットを食べているという情報について、市の当局が否定しているにもかかわらず、そうした情報が一方的に拡散してしまうと、有権者の意識が1つに染まってしまう危うさもありませんか) 大越健介キャスター 「情報をどこから取っているかは、1つの大きな要素だと思います。トラックドライバーたちの取材では職業柄もあってか、全国ネットのテレビではなく、SNSやラジオから情報を得ているという人が大半でした。不法移民がペットを食べているという話について、古くから共和党を支持してるフランコさんは『政治家の話というのは多少誇張を含むものなので気にしないよ』と意に介していない風でしたが、一定の影響を受ける人は決して少なくないと思います。保守系の人たちに人気の、ラジオパーソナリティーのフランツさんは、非常に博識でジェントルマンというイメージにピッタリの人でした。ただ、話をしていて驚いたのが、いわゆる“陰謀論”の話題になった時でした。トランプ氏が演説会場で襲撃された事件は『トランプ氏の大統領就任を阻止しようと、何か巨大な国際組織が、彼を暗殺しようとしたものに違いない』としきりに強調していました。根拠はなさそうでしたが、こうした陰謀論がアメリカ社会で一定の幅をきかせているのも事実です。自分の好きな情報源から、自分が好きな情報だけを選び取り、一色に染まっていく。異なる意見には耳を貸さなくなり、その結果として社会の分断が深まっていく。そんな現象が、ここアメリカではより明確になってきていると感じました」
テレビ朝日