【高校ラグビー】大分東明の双子ラガーマン石川波潤と徠人が花園に別れ…大舞台で兄弟で得点演出
<全国高校ラグビー大会:常翔学園24-19大分東明>◇準々決勝◇3日◇大阪・花園ラグビー場 【一覧】高校ラグビー勝ち上がり表 九州王者でBシード大分東明は、双子でかなえた同校初の8強で舞台に幕を閉じた。 そろって先発出場した主将でロックの兄・石川波潤(はうる=3年)と弟SO徠人(らいと)。無得点の前半11分は弟のキックに始まり、仲間たちのタックルでこぼれ球を奪った兄がトライで5-7に。同15分も兄の果敢なトライでチームを勢いづけた。チームを束ねる兄はノーサイドの瞬間膝をつき、無念の表情。目を腫らし、大粒の涙を流した。「苦しいこともあったけど、みんなの支えで最高の舞台でラグビーできたことが本当に幸せです」。 思いがけない初戦から始まった。高鍋(宮崎)との2回戦は26-26の引き分けでグラウンドで決着がつかず、2校の主将による予備抽選で兄から見て左側にあった“残り物”の封筒を手にし、「次回出場あり」の当たりを引き当てた。 双子で福岡からたたいたのは、当時2度花園に出場していた大分東明。県内屈指の古豪は、花園優勝経験のある大分舞鶴で、石川兄弟の在籍3年間は県大会決勝で同校を破って大舞台にやってきた。元日初白星の3回戦・国学院久我山戦(東京第2)では弟もトライ。大分舞鶴が05年から21年までの出場時に果たせなかった同校初の8強入りを成し遂げた。 弟は兄弟にしかない、人間関係があると語る。「2人の間は、他の人よりもしっかり言い合える。そこはいいかな」。 兄はトレーナーの道を志し福岡大へ、弟は拓殖大に進学予定。両親の思いをそろって明かした。弟は「今までありがとうって。大学でもラグビーやるんで、これからもよろしくって伝えたい」。主将の兄は「双子でできたことはとてもうれしいですし、最後に一緒にプレーできて、一番支えてくれた父と母にその姿を見せられて本当にうれしい」。兄弟の額に流れた汗に、降り注ぐ日差しが輝いた。【中島麗】