「起きたら客が100人増えてないかな」起業と同時にコロナ禍に見舞われた薬剤師が「女性更年期のカウンセリング」にたどりつくまでの紆余曲折
オンライン漢方サブスク「プラス漢方」を立ち上げたものの…あの「禍」が到来
笹森先生が新卒から働いた職場では、上司も部下も同僚はほぼ女性でした。女性が抱える不調に接し、働く女性に対する貢献という視点で、こんなにいいことばかりの漢方をなんとかもっと広めて、誰にでもよりよい日常を届けたいという視点で生まれたのが『プラス漢方』です。しかし、立ち上げたタイミングでコロナかが到来しました。 「両親も調剤薬局を経営し、2人で助け合って働く姿を見て育ったので、在学中から自分も独立したいと考えていました。ちょうど出資者を見つけて事業を始めたのが2020年、まさにコロナ禍のスタート時でした。ですが、勝算があって始めた事業にもかかわらず、まあ、ちょっと口にしがたいくらいの結構な苦戦をしました。いちばんの誤算はお客さまの獲得と継続。こんなに難しいとは思っていなかった。甘いよと言われるかもしれませんが、こればかりは実際に事業を始めてみないとわかりませんでした。毎日毎日、はぁ、明日朝起きたらお客様が100人増えてないかなと、胃をきりきりさせて眠りにつく毎日でした」 やがて笹森先生は、コロナ禍だから、漢方だからという個別要因ではなく、「そもそもの事業モデルに欠落があるのではないか」と考え始めたそう。「プラス漢方」で扱う漢方は他でも購入できるため、ここで買わなければならないという説得感を持ったコミュニケーションが難しいのです。 「そのため、弊社にしか出せないもの、かつ顧客のためになるものは何だろうと考え始めました。顧客にアンケートを取ったところ、特にニーズが高かったのがエクオールとマルチビタミン。サプリならいける、弊社のアイデンティティである漢方ももちろん入れたい。さらにこのタイミングで『フアイア』という生薬エキスにも出会い、さまざまなエビデンスがあることから、これらをワンストップで摂取できるサプリとして考えたのが『エクオールバランスビューティ』です」 顧客ニーズに合わせた設計とオリジナリティの高い商品力。ここで大ヒット、大団円!になりそうな話ですが、この直後に笹森先生は再び「さらに大きな失敗」に直面します。 ここまでの前編では起業から事業ロンチを伺いました。続く後編ではその「さらなる失敗」の詳細と、意外な結末を伺います。
オトナサローネ編集部 井一美穂