「起きたら客が100人増えてないかな」起業と同時にコロナ禍に見舞われた薬剤師が「女性更年期のカウンセリング」にたどりつくまでの紆余曲折
オトナサローネにもよくご登場いただく薬剤師、笹森有起先生。オンライン漢方サービス「プラス漢方」の代表取締役薬剤師を務め、一昨年には同社オリジナルのエクオール含有サプリメント「エクオールバランスビューティ」をリリースしました。更年期世代に寄り添うカウンセリングを一層強めています。 なぜ漢方薬剤師がエクオールに着目したのか? なぜオンラインサービスを選んだのか? その背景を伺いました。
漢方に出会ってしまった。こんなにいいものが日本にはあるだなんて
笹森先生は2012年、調剤薬局に就職すると同時に漢方の勉強を始めました。2019年に独立起業、2021年に「プラス漢方」を立ち上げます。オンラインで薬剤師がカウンセリングを行い、ぴったりの漢方を選んで毎月自宅に届ける、漢方のサブスクリプションサービスです。 「お客様のメインはオトナサローネ世代、40代50代の働く女性。薬剤師が丁寧にカウンセリングを行い、月額料金内で月に1回、ぴったりの漢方をお届けします。メンタル含めた心身の不調を専門家である薬剤師がトータルに傾聴し、漢方を媒介として健康をサポートするサービスです。とはいえ、じつは薬剤師は漢方を深く習わないため、私を含めスタッフは全員あとから自主的に勉強しています」 笹森先生の場合、たまたま配属された先が漢方を得意とする内科の近隣の薬局だったことから、必然にかられて漢方の勉強を始めたのだそう。 「学び始めてすぐ、漢方の効果や哲学に衝撃を受けました。これまで学んできた西洋薬とはまったく違う効き方をします。薬で抑えるのではなく、自己治癒力を引き出し高めてバランスをとっていくという考え方です。年を重ねるごとに不調は変化するものですが、自己治癒力がじゅうぶんであれば対応ができるという考えは本当に驚きでした。予防的対応が可能となるため、高齢化が進む日本では今後より一層重要になるだろうと直感しました」 当初処方していたのはエキス製剤、いわゆるツムラの何番というあの包剤ですが、学べば学ぶほど興味は深まり、街中にある自費の漢方薬局に修行にも出かけました。自ら交渉し、実地でカウンセリングと処方を学ぶ研修も行ったそうです。 「医師の処方を扱う調剤薬局ではすでに処方が決まっていますが、自費漢方薬局はそもそもカウンセリングをして処方を組み立てるところから手掛けます。漢方という同じ医薬品にもかかわらず、薬剤師がかかわる範疇が全く違うことにも驚きました」 ちなみにまで、特に慢性的な不調を抱えた人を相手にすることが多い漢方という分野では、カウンセリングは「否定をしない」「傾聴し受け入れる」ことが大切なのだそう。 「何かしらアドバイスをするときも必ず実例を用いてお話します。すると、このつらさを抱えているのは自分だけではなく、他の人もこういう状況なんだなという安心感が生まれ、不安や混乱という阻害要因が解消されます。これは男女どちらも同様で、その課題の原因が同じなのならば、誰であれ同じ態度で解決へとたどりつくことができると、この仕事を通じて感じています」