顔半分に白斑・アザを持つ女性たちの戸惑いと葛藤、あえて“晒す”ことでコンプレックスを強みに
■「他の誰とも違う、私にしかない個性」そこに至るまでの2度の転機と母の愛情
生まれつき顔に大きな赤アザのあるダンサーで振付師のRICACOさん。TikTokではダンス動画のほか、あざを生かした遊び心のあるメイクやカバーメイクを発信。エンタメ精神あふれる明るいキャラクターとポジティブなメッセージは多くの視聴者を惹きつけ、2022年は資生堂のCMに出演した。そんなRICACOさんは単純性血管腫を持ち、顔の左側に赤いアザを持って生まれた。 「子どもの頃から人前で何かをするのが大好きで、小学校でもよく友だちと漫才とかダンスをしていました。口の悪い子に『赤ピーマン』とあだ名を付けられても、ひるまず言い返してましたね。勝気な性格は親譲りだと思います」 転機が訪れたのは、小4の時。ミュージカルスタジオに入所したものの「発表会に出たくない。大勢の知らない人にアザを見られるのは嫌」と拒むRICACOさんに、講師がカバーメイクを施してくれたのだ。 「とにかく“みんなと同じ”になれたことがうれしくてうれしくて。そこからカバーメイクを研究するようになり、中学校に上がってから大学を卒業するまでずっとアザを隠してきました。SNSで初めて素顔を投稿したときには、同級生も『知らんかったわ!』と驚いてましたね」 大学卒業後、憧れの企業へダンサーとして就職したことでまた転機が訪れた。そこで働く条件は「スッピンで活動できること」だったのだ。 「何年もアザを隠してきたので、最初は悩んだんです。それでもダンスを仕事にしたいという気持ちが強くて、エイヤッとスッピンで初出社しました。そしたら、誰もアザのことをジロジロ見たり言ったりしなくて。いわゆる“大人の対応”だったと思うんですが、そのときに気づいたんです。『アザ=ネガティブなものと思い込んでいたのは自分だったのかも?』『コンプレックスで自分を縛ってたのは自分だったのかも?』って」 その気づきは素顔で投稿したSNSで確信に変わった。 「ありのままの自分でいることが、こんなにも人を前向きにできるんだと知ってから、コンプレックスだったこのアザが誇りに思えるようになりました。他の誰とも違う、私にしかない個性なんだって」 現在RICACOさんのもとには自らのアザがある人のほか、「子どもにアザがある」という親からの相談も多く寄せられるという。 「実は私も1歳のときに1回、小5~中1にかけて5回、レーザー治療をしています。ドシッとした親でしたが、やっぱり心配してくれてたんだなと思いますね。当時と比べて今は治療器もよくなってると聞きますが、アザの種類によっては消すのが難しいケースもあるようなので、アザを取っても取らなくても、自分を認めてあげるのが大事なような気がします」