【オフロードでは不思議体験!】メルセデス・ベンツ伝統のGクラスにEVはアリ?
3トンを超える車重を蹴飛ばすような感覚
続いて試乗したオンロードでは、ステアリングの豹変ぶりに驚いた。Gクラスのステアリング機構は2018年以降の現行モデルになってから、クロカンモデルの伝統のひとつであるボールナット方式から一般的なラック&ピニオン方式となった。 ところが、オフロードではボールナットを思わせるいい意味でダルさのあるステアリングフィールであったのに対し、オンロードではラック&ピニオンらしいシャキッとしたフィーリングとなり、このふたつを両立していることに驚かされた。 そしてオンロードでひとたびアクセルを踏み込んでいくと、その加速感には度肝を抜かれる。1164Nmという最大トルクは、あっけなく3トンを超える車重を蹴飛ばすような感覚で、動力性能に優れる速いスポーツカーのそれとはまた違ったものだ。 オンロードではラダーフレーム特有の、路面からの入力が逃げていくような横揺れ感がある。それは古典的なクロカンモデルとして正しい乗り味だが、それがBEVで音もなく駆動するのは、とても不思議なフィーリングだ。つまりは伝統の乗り味と最新パワーユニットの融合であり、G580はGクラスだからこその新しい世界が見られるモデルとなっていたのである。
西川昇吾(執筆) 神村聖(撮影) 平井大介(編集)