ゴールデン・グローブ賞7部門ノミネート!ある建築家の数奇な運命を描く『ブルータリスト』場面写真
第81回ヴェネチア国際映画祭でプレミア上映され、銀獅子賞を受賞したエイドリアン・ブロディ主演作『ブルータリスト』(2025年2月21日公開)。本作より場面写真が解禁となった。 【写真を見る】ガイ・ピアース演じるラースローの運命に大きな影響を与える大富豪ハリソン ヴェネチア国際映画祭に続いて、第90回ニューヨーク映画批評家協会賞でも作品賞と主演男優賞を受賞したほか、アカデミー賞前哨戦となる第82回ゴールデングローブ賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞ほか合計7部門にノミネートされた本作。第二次世界大戦下にホロコーストを生き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ人建築家ラースロー・トート(ブロディ)の30年にわたる数奇な半生を、監督&脚本を務めた弱冠36歳の気鋭ブラディ・コーベットが描き出した、215分にわたる壮大な人間ドラマとなっている。 才能にあふれるハンガリー系ユダヤ人建築家のラースロー・トートは、第二次世界大戦下のホロコーストから生き延びたものの、妻エルジェーベト(フェリシティ・ジョーンズ)、姪ジョーフィア(ラフィー・キャシディ)と強制的に引き離されてしまう。家族と新しい生活を始めるためにアメリカのペンシルベニアへと移住したラースローは、そこで裕福で著名な実業家ハリソン(ガイ・ピアース)と出会う。ラースローのハンガリーでの輝かしい実績を知ったハリソンは、彼の才能を認め、家族の早期アメリカ移住と引き換えに、あらゆる設備を備えた礼拝堂の設計と建築を依頼する。しかし、母国とは文化もルールも異なるアメリカでの設計作業には多くの障害が立ちはだかる。ラースローが希望を抱いたアメリカンドリームとはうらはらに、彼を待ち受けたのは大きな困難と代償だった。 解禁される写真は9点。過酷な環境のなか、自らが思い描く理想の建築に向かって降りしきる雨をものともせずに、一心不乱に図面を広げるラースローのほか、絶大な富と権力を持ち、彼のパトロンとしてタッグを組むハリソンとの2ショット、ヨーロッパでのユダヤ人迫害から免れ、アメリカに到着したラースローがいとこと久々の再会を喜ぶ様子、夫婦として深い絆で結ばれたラースローと妻エルジェーベトの姿を捉えたものなど、いずれもあるユダヤ人の建築家がたどる数奇な運命の片鱗を捉えたものとなっている。 主人公のラースローを演じるブロディは、『戦場のピアニスト』(02)で第74回アカデミー賞主演男優賞を受賞した実力派。ラースローと共に数奇な運命をたどることになる妻エルジェーベトを演じるのは、『博士と彼女のセオリー』(14)で第87回アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたフェリシティ・ジョーンズ、アメリカへ渡ったラースローの運命に大きな影響を与える大富豪ハリソンを演じるのは、『L.A.コンフィデンシャル』(97)、『メメント』(00)などのガイ・ピアース。そのほか、ジョー・アルウィンや、ラフィー・キャシディなど、ハリウッドを牽引してきたベテランから注目の若手まで幅広い役者陣が顔をそろえている。 第二次世界大戦後、無残にもすべてを奪われた建築家が希望を抱いたアメリカンドリーム。見知らぬ土地と異なる文化、その光と影に苛まれながら、移民として苦境にさらされ、孤独にひしがれた一人の男の唯一無二の人間ドラマを描く『ブルータリスト』。豪華キャスト陣による競演にも期待してほしい。 文/平尾嘉浩