レッドブルF1育成リンブラッド、”ダブル優勝”達成。大波乱のレース制して今季4勝目|FIA F3シルバーストン フィーチャーレース
イギリスのシルバーストン・サーキットを舞台に開催されたFIA F3第7戦。7月7日(日)のフィーチャーレースでは、レッドブル育成のアービッド・リンブラッド(プレマ)が優勝した。 【リザルト】FIA F3 2024シルバーストン フィーチャーレース 上位10名がリバースグリッドとなるスプリントレースとは異なり、フィーチャーレースは予選順位のまま。ポールポジションを獲得したルーク・ブラウニング(ハイテック)と2番手マックス・エスターソン(イェンツァー)がフロントロウに並んだ。 大雨の影響により、土曜日午前に予定されていたF3のスプリントレースは同日夕方に延期されたが、日曜日も再び天候には恵まれず。22周/45分+1周のフィーチャーレースは、スタート前から小雨がサーキットを濡らした。 そのため多くのドライバーがウエットタイヤを選択したが、8番手のカラム・ヴォイジン(ローディン)をはじめスリックタイヤを履くドライバーもいた。さらにフォーメーションラップの時点では雨が上がったことから、リンブラッドやガブリエレ・ミニ(プレマ)などがピットへ飛び込み、スリックへと交換してレーススタートを迎えた。 上位のドライバーはウエットタイヤのままスタート。ブラウニングを先頭にオープニングラップを走った。ただ、後方でマシンストップが発生したため1周目にしてセーフティカー出動となると、ピットロスが少ないことから、これを機にピットでスリックへと交換するドライバーも少なくなかった。 レースは3周目から再開。ブラウニング、レオナルド・フォルナローリ(トライデント)、エスターソンの上位3名はウエットタイヤだったが、スリックを履くヴォイジンが4番手から1周にしてトップに浮上した。 ただ予報では雨が強まるとされていたことから、スリック勢はドライ路面でできるだけトラックポジションを上げておくことが重要。ヴォイジンは1周5秒近く速いペースでブラウニング以下を突き放していった。 しかし同時多発的なクラッシュによってソフィア・フローシュ(VAR)がリタイアとなり、4周目には2回目のセーフティカー出動。セーフティカーラン中に雨脚が強まり、ウエット勢に形成が傾いたかのように思われた。 スリック勢はここで再びピットへ戻るドライバーも多かったが、首位ヴォイジンやリンドブラッド、ミニなど上位にポジションを上げたドライバーはステイアウトを選択。ただ、ヴォイジンはコースを離れてアドバンテージを得たとして10秒のタイムペナルティを受けることとなった。 レースは8周目から再開。濡れた路面でウェット勢がスリック勢を抜き去り、隊列は大混乱。再開直後から各所でバトルが展開され、その結果ターン15(ストウ)で3台が絡む大クラッシュが発生した。 これで3度目のセーフティカー出動。トップ3は序盤の通りウエット勢のブラウニング、フォルナローリ、エスターソンへと戻った。ヴォイジンを含めスリック勢は後方に沈んだ。 アクシデントの連続によりレースが長引いたことで、ラップ制から時間制に。この頃には雨があがり、残り13分というところからレースが再開されると路面は急速に乾いていった。 するとスリック勢が息を吹き返し、一時は21番手まで沈んだヴォイジンは、ウェット勢より1周3~4秒速いラップタイムで挽回。残り5分の段階で首位ブラウニングの攻略を完了し、再びリードを奪ってみせた。 10秒のタイムペナルティを帳消しにするリードを築きたいヴォイジンだったが、その後ろには同じくスリックで粘ったリンブラッドとミニのプレマ2台が、ポジションを一気に上げて2~3番手で続いた。 ウェット勢が1周2分台なのに対して、トップ3は1分48秒台までペースアップ。圧倒的な差で後続を置き去りにしていった。 ヴォイジンはトップチェッカーを受けたものの10秒ペナルティにより3位降着。代わってリンブラッドが優勝となり、スプリントレースに続きフィーチャーレースも制した。これで今季4勝目だ。 2位表彰台を掴んだミニは19ポイントを獲得し、ドライバーズランキング首位に浮上した。6ポイント差でリンブラッドがランキング2番手につけた。 終わってみれば、スタート前からスリックを履き、雨が降ってもコース上に留まり続けた3名が表彰台に上るというレースになった。
滑川 寛