柔道女子・松本薫さんが引退会見(全文)野獣と子育ての両立は難しかった
2012年ロンドン五輪の柔道女子57キロ級金メダリストの松本薫さんは7日、引退会見を行った。 【動画】柔道女子 “野獣“松本薫さんが引退会見 ※【**** 00:35:30】などと記した部分は、判別できなかった箇所ですので、ご了承ください。タイムレコードは「柔道女子 “野獣“松本薫さんが引退会見」に対応しております。 ◇ ◇
松本薫さんからの引退報告
司会:皆さま、本日はお忙しい中、お集まりたいだきまして、誠にありがとうございます。お時間になりましてので、これよりベネシード柔道部所属女子57キロ級、松本薫の引退会見を始めさせていただきます。 まず初めに、松本薫からごあいさつをさせていただきます。着席のまま失礼させていただきますので、どうぞご了承くださいませ。 松本:こんにちは。本日は寒くない中、すいません。お忙しい中、すいません。ご足労いただき誠にありがとうございます。2月7日、本日をもって柔道の競技を引退いたしますことを報告します。本当に、今まで支えていただいた、家族や友人、そして仲間たち、そして会社の皆さま、また石川県関係者の皆さま、いつも体のメンテナンスをしていただいた【石島 00:03:03】先生や、本当にたくさんの方に支えていただいて柔道をやってこれました。私が今、こうやってこの場で会見させていただいているのも、本当にたくさんの方の支えがあって今があると思っています。これからはまた第二の人生として、違う形でスタートをきっていくと思うので、よろしくお願いします。 司会:それでは各社さまからの質疑応答に移らさせていただきたいと思います。最初に各社さまを代表いただきまして、株式会社テレビ東京、【板垣 00:03:38】さまより代表質問を賜ります。板垣さま、よろしくお願いいたします。
引退を迎えての心境は?
テレビ東京:それでは、こちらから代表で質問させていただきます。まずは本当に競技生活、お疲れさまでした。 松本:ありがとうございました。 テレビ東京:今のごあいさつからも固い決意が伺えましたが、今、率直に引退を迎えて、心境を聞かせてもらえますか。 松本:は、柔道をしないこと、練習をしないこと、トレーニングをしないことっていうのは、こんなに楽なんだなって思いました。 テレビ東京:ただ、そこに至るまではいろんな心の動きがあったかと察しますが、引退を決意するまでの経緯を教えていただけますか。 松本:本当に、私の中の優先順位の一番が柔道よりも子供にいってしまったこと、そしてやっぱり体力的な限界と、今回の試合で結果が残せなかったっていうのは、やっぱり私の中で、もうオリンピックは難しいなっていうふうに判断しました。 テレビ東京:いつぐらいから考えていたんですか。 松本:本当に11月の試合があったんですけど、その試合のときにそのときに、ちょっとたぶん闘争心が少しずつなくなってきてたっていうのもあるんですけど、試合の中でふと、ああ、もう勝ちたくないなって思ってしまいました。そのときに、もう競技者としては、もう勝負師としては私の中では終わってるんだなっていうふうに気付き、試合後、直後に報告しました。会社の方に。 テレビ東京:最初に会社の方にご報告されて、それから周囲の反応はいかがでしたか。 松本:やっぱり旦那や私の家族は、もっと見たかったなって言っていただいていました。 テレビ東京:その報告をされてから今日に至るまでは少し時間がありましたけれども、その中でもやはり心の動きはあったんですか。 松本:ないです。 テレビ東京:先ほど、ご自身でもおっしゃってましたが、旦那さまがそうやって言ってくれたにもかかわらず、それでも練習をしないことがこれほど楽なんだということは、それほどに松本さん自身も追い込まれていたということですか。 松本:そうです、野獣をつくるのにものすごく力が必要で、子育てとの両立をしながら野獣スタイルを維持していくっていうのは、やはり難しかったっていうのがやっぱりあります。 テレビ東京:そうすると今はもう、かつては、ママでも野獣、妻でも野獣というコメントを残していますけれども、悔いだったり後ろめたさはないですか。 松本:はないです。今はすっきりして次の人生に向かって、楽しみにしています。 テレビ東京:6歳から始めた柔道です。この25年間、振り返ってみるとどんな柔道人生でしたか。どんなことが頭をよぎりますか、どんな人が思い浮かびますか。 松本:一言で言うとみんなになってしまうんですけど、やっぱり家族の支えがとても大事だったと思います。そして私にとっての柔道というのは、教育柔道だなって思います。 テレビ東京:教育柔道といいますと。 松本:今はやめて実感するのが、『キャプテン翼』とかは、サッカーボールは友達って言って、すごいサッカーが好き。 テレビ東京:大丈夫です。 松本:すいません。サッカーは友達とか、やっぱりその競技が好きじゃなきゃ駄目っていうふうに洗脳が私の中にあって、やっぱり私の周りも、みんな柔道が好きでやっている子で、引退したあとも好きでその競技に携わっている子が多かったので、好きじゃないと駄目なんだろうなって。私は柔道が好きだ、柔道が好きだ、だからやってるんだってずっと思ってたんですけど、どこかずっと違うなっていうのはあって。で、引退した今、私って柔道が好きか嫌いかって言ったら、別に嫌いでもないですけど、好きってわけでもなかったんだっていうのに気付いて。で、私にとっての柔道は目標であり、夢であっただけで、それを、柔道を通して私は成長することができたので、私にとっての柔道は教育柔道だったと思います。 テレビ東京:ということは、松本さんにとって、もうその夢、目標は達成されたということですか。 松本:夢、目標は柔道においては達成されました。 テレビ東京:印象に残っている試合などがあれば教えてください。 松本:一番はやっぱりロンドンのオリンピックの金メダルです。あのときは、やっぱり帰ってきてから、家族や会社のみんなや仲間が、みんな泣きながらおめでとうって言ってくれたので、とてもうれしかったです。 テレビ東京:そしていつしか野獣というニックネームも付きました。ご自身でもおっしゃっていました。実際に選手として、そのニックネーム、どういうふうに受け止めて選手として過ごしていたんですか。 松本:野獣だと思います。野獣以外ないかなと思います。ありがとうございます。