揺らぐ年金制度…世代間の不公平を是正するための制度とは
それぞれの運用によって異なる「公的年金」
日本の公的年金制度は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金」(基礎年金)と、会社員や公務員などが加入する「厚生年金」の2階建て構造になっています*1。 この厚生年金の保険料は、加入者本人と会社が半分ずつ折半して負担するものとされています。そのため、加入者は国民年金に上乗せして保険料を支払う必要がありますが、将来的には国民年金に加えて厚生年金の受給が可能になります。 なお、1・2階部分にあたる「公的年金」に加えて、企業が福利厚生として設ける「企業年金」*2や、加入者自身で資産を運用する「私的年金」などを積み上げることも可能です。そのため、一概に年金とは言っても、将来的に受給できる額はそれぞれの運用によって異なります。年金制度の存続が危ぶまれている日本においては、公的年金以外に自分自身で資金の運用を行っていくことが求められています。 *1 この場合、会社員・公務員以外の方とは、農業者、自営業者、学生、無職の方など、そして配偶者(年収130万円未満の20歳以上60歳未満)を指しています。 *2 制度の有無は、会社によって異なります。
現役世代の負担増と揺らぐ年金制度
現在、少子高齢化の進行によって、日本の年金制度の存続が大きく揺らぎつつあります。年金の受給者数や受給期間が増大する一方で、年金保険料を納める労働人口の数は減り続けており、「受給者」と「支払者」のバランスは崩れています。 もちろん、医療制度の充実などによって平均寿命が伸びることは良いことですが、こと年金に関して言えば、支払う側である現役世代の負担は大きくなり続けています。このまま少子高齢化が進んでいくことを考えると、年金額を引き下げたり、受給開始年齢を引き上げたりなど、受給対象者の生活への影響は避けられないかもしれません。いずれにせよ、現状の年金制度を見直していかなければならないことは明らかです。 ちなみに、2023年3月下旬、フランスで政府の年金制度改革に反対する(抗議)デモが激化しました。少子高齢化に関する問題に悩んでいるのは、日本だけでなく先進国などが抱える共通の問題だと言えます。