ドイツで就労ビザ認定数が過去最多に 移民受け入れで人手不足は解消するのか?
ドイツ連邦統計局は、外国人労働者向けの就労ビザ(査証)の認定件数が昨年、過去最高を記録したと発表した。これは、ドイツで働きたいと考えている人々にとっても、またこれまで煩雑な手続きのせいで外国人の採用に苦慮してきたドイツの企業にとっても朗報だ。 統計局によると、就労ビザの認定件数は2022年の5万2300件から昨年は6万5300件へと、25%近く増加した。これは2016年の2万6200件と比較すると2倍以上となる。就労ビザの発給が認められた職種の大半は医療関係だった。出身国別では、トルコ、チュニジア、ウクライナ、インドの労働者の増加が著しかった。 歴史上まれに見る人口動態の変化の中で、外国人労働者の資格要件を高めることは、長年にわたりドイツがより多くの有能な人材を海外から引きつけるための戦略の一部となってきた。ところが、政府は近年、ドイツ語能力の要件や給与基準など、外国人労働者の入国障壁を段階的に引き下げている。 同国では多くの業界が人材不足に陥っており、地域によっては労働者を切望している自治体もある。ドイツは欧州連合(EU)加盟国やその他の地域からの競争にさらされる一方で、高齢化で数多くの労働者が引退する中、その穴を埋める人材が十分にいないという歴史的な人口減少にも直面している。こうした中、ドイツ政府は外国人労働者の受け入れを求める大きな圧力を受けている。 医療分野は人口減少の影響で特に深刻な脅威にさらされている業界の1つだ。ドイツでは医師や看護師などの医療資格を取得する国民はごく少数にとどまっており、現役の医療従事者の多くが定年退職を間近に控えている。こうした状況の中、同国の医療部門は外国人労働者に大きく依存しており、すでに医師の10%以上を外国人が占めている。 外国人への就労許可が劇的に増加したことは、人手不足を懸念する国民にとって安心材料となるだろう。ドイツでは今年、8年前の2016年頃に受け入れたシリア難民の雇用が増加していることも示された。