ドイツで就労ビザ認定数が過去最多に 移民受け入れで人手不足は解消するのか?
反移民を掲げる極右政党が躍進するドイツで人材不足は解消するのか?
だが、こうした朗報とは裏腹に、ドイツは今後、数十万人規模の人手不足に陥ると予測されており、政府の試算によれば、その数は2035年までに700万人に達する可能性もある。同国のロベルト・ハーベック経済相は、国家が成長する上で、労働力不足が最大の障害になるとの見解を示した。こうした観点から、就労ビザ申請にかかる官僚主義的な障壁の引き下げや手続きの迅速化、移民向けの社会統合や語学コースの促進など、あらゆる技能水準の外国人労働者を引きつけるための一層の努力を求める声もある。 他方で、近年のドイツ政治の動向により、問題は複雑化している。ハーベック経済相をはじめとする政治家は、移民の受け入れを増やすことは労働力不足を補うために必要だが、それだけでは十分ではないと考えている。しかし、こうした見方に対する抵抗が強まっている兆しもあるのだ。 同国では最近、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が、旧東ドイツの州議会選挙で歴史的な勝利を収めた。旧東ドイツは国内でも特に人口減少と農村の衰退が著しい地域だ。極右政党の躍進は、ドイツの経済界に深刻な警戒心を引き起こした。ある著名な企業経営者は選挙に先立ち、AfDが表明する反移民感情は移民の流入を阻み、労働力不足を悪化させるだけだと指摘。また別の人物は、AfDが過去最高の得票数を記録したテューリンゲン州とザクセン州が「経済的破局」の瀬戸際に立っていると警告した。 AfDテューリンゲン州支部のビョルン・ヘッケ共同代表は、外国人労働者の受け入れを促すための取り組みを繰り返し標的にしている。職場の多様性の推進に尽力する中小企業の統括団体に向けて演説したヘッケ共同代表は、これらの企業に「深刻な経済的混乱」が訪れることを祈るとともに、今後はどの企業からも商品を購入しないと表明した。これに対し、同団体のマリークリスティーネ・オスターマン会長は、ヘッケ共同代表が「ドイツ経済の根幹を成す家族経営企業の経済的没落を望んでいる」として、非国民だと糾弾した。
Frey Lindsay