「衝撃、自分の中に雷が落ちてきた」“ハード系”のパンにこだわり 挫折感を味わい再出発 職人気質の店主の一日に密着
練った生地は、長時間発酵。 萬年茂昭さん: 「パン本来のおいしさというか、長時間発酵させることによっての香りと口どけを出すために」 午前1時過ぎから作り始めるのは、それだけ時間がかかるから。萬年さんはこの作り方をもう30年続けています。
■「自分の中に雷が」
山ノ内町出身の萬年さん。「自分の手で何か作る仕事を」と、高校卒業後、東京都内のパン店に就職しました。職人として15年経験を積み地元で自分の腕を試そうと、中野市に店を開くことにしました。 その矢先、業界の勉強会で知り合った千葉県のオーナーの店でフランスパンを口にします。 するとー ベッカライ ヴァイツェン萬年茂昭さん: 「すごい衝撃なんですよ、自分の中で雷が落ちたように。もう全然、次元が違う、自分が今まで10何年やってきたものと全然違う。これじゃダメだ、こっちに行かないとダメだというふうに思って」 それはシンプルな材料と、長時間発酵で作られたフランスパン。萬年さんはオーナーに頼み込み、引っ越しまでの2週間、急きょ、修業させてもらいました。 そして1995年、念願の店をオープンさせます。 しかしー 萬年さん: 「(当時は)これがおいしいパンだ、そういうのもみんなにわかってほしい、ただそれだけです。それで全部打ちひしがれましたけどね。全然売れなかったですよ」 フランスパンやドイツパンなど「食事パン」を中心に店頭に並べましたが、手軽に食べられる総菜パンと違い、なかなか受け入れてもらえなかったと言います。 萬年さん: 「『うわ、パンってこんなに難しいんだ』ってずっと思ってました。最初、総菜パンは作ってないです、うち本当は。ただ世の中、全然それじゃ、にっちもさっちもいかなかったので、あの頃は」 そこでより多くの客を求めて2000年に店を長野市に移転し「再出発」を図りました。
萬年さん: 「おはよう~」 午前7時半ごろ、妻・佳美さん(54)も出勤。開店準備を手伝います。
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