裁判官時代に30件以上の無罪判決を出した木谷明弁護士が死去 袴田さんを積極的に支援 最後まで訴えていたのは再審法の改正
袴田事件の再審を求める活動を長年支援してきた木谷明元裁判官が亡くなりました。最後まで訴えていたのは再審法の改正です。 袴田巌さん 「こういう勝利の日が最後には来たというのが喜ばしい事実がやっと実った」 再審で無罪判決が確定した袴田巌さん。 1日浜松市で開かれた支援者集会に出席しました。 その集会では…。 「黙とう」 裁判官時代に30件以上の無罪判決を出した東京高裁の元裁判長・木谷明弁護士に黙とうがささげられました。 袴田さんの再審をめぐる活動を積極的に支援してきた木谷さん。 11月21日、都内の病院で急性心筋梗塞のため亡くなりました。86歳でした。
“無罪を見抜く”裁判官として、テレビドラマのモデルにもなった木谷さん。 袴田事件の弁護団が30年間にわたって裁判のやり直しを求めても再審が認められない理由について、裁判官としての心境を吐露していました。 木谷明元裁判官: 「(裁判官は)再審の事件はみんな嫌がる。やりたくない。できれば(再審事件に)当たりたくない。仮に当たっても自分の段階では結論を出さずに逃げたいと思っている。 これは正直なところ、できるだけ後回しにしたがる」 袴田さんは48年に及ぶ拘置所生活で「死刑への恐怖」による拘禁反応が残ったまま。 今も現実と妄想が入り混じった世界にいて、意思疎通が難しいことも…。 再審決定まで48年、釈放から無罪確定までさらに10年の時間を要した袴田事件。 木谷さんは、袴田事件をきっかけに、再審制度の整備を進めるべきだと訴えていました。 木谷明元裁判官: 「長すぎますよね。人に与えられた時間というのは、人生は限られた時間なんですよ。こんなに時間を掛けちゃしょうがないですよ。(袴田事件が)きっかけとなって再審法が改正されれば。全然生かされないじゃ、何のための60年かと思います」 袴田さんの無罪確定後、亡くなる1カ月ほど前にも、私たちの取材に応じてくれていました。 木谷明元裁判官: 「早急に再審法の手直しをするというふうにしてほしいですね。これは法務省が本来すべきなんだけど、法務省というのは検事が牛耳っているから、検事に都合の悪いことはしないんです。これは今の法務省の日本の法制度の最大の欠点です。」