「極悪女王」Wクラッシュ・ギャルズが見た女子プロレスの光と闇
唐田:いっぱい試合をしましたが、特に姉さん(剛力)とのシーンは、信頼関係の上で成り立っているような部分が多かったので、感情の流れで自然と進めていけるところはすごく楽しかったです。姉さんには、とても多くのことを引き出してもらいました。
1980年代、女子プロレスの全盛期に何を思っていたのか
Q:1980年代の女子プロレス界の熱狂が生々しく伝わってきますが、当時はどんな思いでプロレスを行っていたのですか? 飛鳥:ドラマにも描かれていますが、自分がやりたかったプロレスと千種がやりたかったものが本当に違っていたんです。でもうまく目的が一緒になって、最後までたどり着けた。まさに、ドラマで描かれた感情と同じだったのかなと。
長与:毎日試合だったからね。この物語は、最後に敗者髪切りデスマッチというクライマックスの試合に向かっていくのですが、最後に彩芽ちゃん(演じるライオネス飛鳥)が言う「うちら同期の55年組にしか見せらんないプロレス…やるぞ!」という言葉がすべてだったかな。実際に相方が言った言葉だったのですが、それだけは絶対に使わせてもらいたかった。自分たちのプロレスへの思いが完結したと思える瞬間でしたよね。
飛鳥:千種からは「あのシーンだけは一言一句違わないようにした」と聞いていたので、わたしも同じ思いでした。その意味で、自分たちの人生を振り返ることができた。この作品を観て「まだまだ頑張らなければ……頑張れる」とも。
唐田:お話を聞いていて、もう泣きそうです。最初は長与さんが監修をしてくださると聞いたときは「こんなんじゃなかった」と言われてしまったらどうしよう……という不安や緊張があったのですが、撮影に入るとそんなことはすぐに吹き飛ぶぐらい、一緒に戦ってくださっているなと感じることができました。
長与:二人をはじめレスラー役だった女優さんたちの熱意に圧倒されました。みんな一生懸命頑張っているからこそ、どこかで甘やかしたいというか「一緒にご飯食べようよ」なんて言いたかったけれど、その一線を越えてしまうと、伝えたいこともなあなあになってしまうと思ったので、こちらも真剣勝負でした。レスラーだけではなく、(村上淳、黒田大輔、斎藤工)が演じた全女経営陣の)松永兄弟にも、本当にモンスターの役を演じてもらわなければいけなかったので距離感は大切にしました。