【北海道の美味いパン】地元小麦で作る「加納製パン」のカンパーニュ
【写真】焼きあがったパンを並べる加納さん。カンパーニュ生地をベースにナッツやレーズンを混ぜてバリエーションを出している 店主の加納雄一さんは帯広市出身。神戸や帯広市内の製パン店で22年勤めた後、2022年3月に「加納製パン」をオープン。なぜ、カンパーニュをメインにしたお店を?と聞くと、 「神戸の大学に通っていたときに、近所のパン屋さんでカンパーニュを買って食べたのですが、その美味しさに感動したんですよね。皮がパリッとして香ばしくて。自分の店を始めようと考えたときに、帯広には老舗の『ますやパン』(1950年創業。十勝っ子はみんなここのパンを食べて育っている)をはじめ、クリームの入ったパンやサンドイッチを扱っているパン屋さんはたくさんあるな、と。だったら、ハード系のパンを中心にした店にしようと思ったんです」と加納さん。
【写真】十勝・中川農場の自然栽培のスペルト小麦。加納さんは、店の定休日にはできるだけ生産者の元へ足を運び、話を聞き、畑の見学をする。「お客さんに生産者のことや、小麦の生育について説明ができるのがうれしいですね。十勝の畑で育った小麦で作ったパンだということを知ってもらうことで、パンも小麦も身近に感じてもらえたらいいな、と」 「加納製パン」では、全国の名だたるベーカリーが使用する、中川農場や庄司農場といったカリスマ農家をはじめ、6軒の地元農家の十勝産小麦を使用している。店頭に並ぶパンの札を見ると、どの農場の小麦、品種が使用されているか一目瞭然だ。パンの約半分は自家製粉した挽きたての小麦を使用し、単一品種で使用するものもあれば、ブレンドしたパンも。実際、加納さんが焼いたパンは香りが高く、小麦の力強さを感じさせ、“パンは小麦でできている”ということをしみじみ実感させられる。一方で、食事のときには料理に寄り添う柔軟さもあり、毎日食べても食べ飽きないのだ。
【写真】パンの焼きあがり加減をチェックして、次々と棚にパンを並べる。カンパーニュは高温でしっかり焼きこむため、外側はガリっと香ばしい