<大河原邦男>巨匠に聞く「ガンダムSEED」メカデザイン “職人”としての姿勢
「SEED FREEDOM」に登場する新MSのライジングフリーダムガンダムのデザインが公開された際、“顔”が話題になった。フリーダムガンダムとは“顔”が変わっているようにも見える。
「実はそんなに変えていないんです。ガンダムっぽいデザインは大体、顔の印象は変えていなくて、ヘルメットなどで個性を立たせればいいという考えです。人間もそんなに顔は変わらないじゃないですか(笑い)。ヘルメットなどで差別化できる。新しいメカにしてもそんなに顔は変えていないんです」
新MSとしてゲルググ、ギャンを想起させるゲルググメナース、ギャンシュトロームが登場することに注目しているファンも多い。「SEED」シリーズではこれまで、ザクウォーリア、ドムトルーパーなど懐かしのMSをモチーフとした機体が登場した。「SEED」シリーズを手掛ける福田己津央監督の要望もあって、デザインしたという。
「『SEED DESTINY』が終わり、劇場版を作ることになって、その時にデザインをしたものなので、10年以上前にはデザインが終わっていたんです。劇場版の制作の際、必要なMSは福田監督から言われて作ってあって、それがやっと日の目を見ました。ギャンはフィニッシュに近いものがあって、耳にアンテナのようなものを付けたり、その程度です」
1987~88年に放送された「機甲戦記ドラグナー」のキャバリアーのようなメカも登場する。「機甲戦記ドラグナー」は、大河原さんがメカデザインを手掛け、福田監督が演出として参加したアニメだ。
「これも福田監督から話がありました。当時、ドラグナーの1、2、3型の主役3体のデザインが寂しかったので、神田武幸監督に三度笠(がさ)をかぶせたいとお願いしたんです。傘を外したら、顔が出てくる……と度肝を抜きたくて」
大河原さんは、福田監督に「『ガラット』(1984~85年放送の『超力ロボ ガラット』)の時から一緒にやっているし、気心が知れている」と信頼を寄せている。