2024年問題解消へ広がる打ち手 国分グループ、新方式で食品メーカーの運べないリスクを軽減
国分グループの中核エリアカンパニー、国分首都圏が新たな物流基盤の構築に乗り出している。21年11月、東京・昭島市の既存汎用センター内に首都圏西マザーセンター(以下、MC)を設置。1都3県58ヵ所の同社物流拠点(小売専用センターを含む)で行っていたメーカーからの入荷をMCに一本化し、メーカーの車両台数削減や積載率の向上を支援するものだ。 入荷対象をパレット積みに限定し、荷受時間をメーカーごとに事前に取り決めているため、荷待ち時間はほぼゼロ。MCから各拠点への横持ち配送も複数メーカー混載の高効率な5コース編成となっている。 現在のMC利用メーカーは、和酒・地ワイン・乾麺・缶詰など全16社。「MC稼働当初からご利用いただいている和酒メーカーの場合、以前は当社の各拠点への納品が月合計で400回に及んでいたが、MCへの一括納品で23回に減少した」(国分首都圏物流・システム部物流営業課長・小林浩二氏)という。 国分グループは進行中の第11次長期経営計画(21-25年度)で持続可能な社会構築への貢献を標ぼう。そのキーワードの一つに「物流資源のフル活用」を掲げている。店舗向け配送が専用センター経由に移行する中、余力のある汎用センターをメーカーの物流リスク対策に役立てる発想は、いかにも同社らしい。 国内の物流需給環境は深刻だ。今年はドライバーの時間外労働規制に伴う輸送能力の低下、いわゆる「物流の2024年問題」がクローズアップされているが、これは今年限りの現象ではない。特に不足が深刻な大型ドライバーの場合、50歳以上の割合が6割近くを占めており、その高齢化・リタイアによって、さらなるひっ迫が起こり得る。納品リードタイムの緩和や荷待ち時間の抑制といった生産性向上策の徹底に加え、物流ネットワークそのものを持続可能なものに組み換えていく必要がある。 国分首都圏のMCはその嚆矢(こうし)と呼べるものだが、まだまだ課題は多い。最大の障壁は小売業が設定する納品期限ルールへの対応だ。拠点間配送を要する縦に長い物流モデルだけに、在庫回転日数が長くなり、賞味期限が極端に短い商品を扱うのが難しい。納品期限の緩和や賞味期限の延長といった商慣行の改善が待たれるところだ。 また、国分首都圏が1都3県で高い卸売シェアを有するといっても、メーカーにとっては特定エリアの一得意先に過ぎず、他地域や他の得意先卸への供給を含むトータル輸送効率は高まらない。このことがMC方式への円滑な移行を阻んでいることは否定できない。現状ではMCに入った商品を国分首都圏の自社在庫としているが、将来的にはMCをメーカーの共同倉庫に位置付け、卸各社の拠点へ供給を担うなど、真の全体最適化に向けた活動が欠かせない。「国内輸送能力は今後ますます縮んでいく。メーカーが運べない状況に陥らぬよう、同業各社との連携・協業など、あらゆる手だてを講じていきたい」(小林課長)
日本食糧新聞社