ぺろぺろきゃんでーが語る、兄妹の生き様「誰かにとっての居場所を作りたい」
兄・SUNNY-PLAYと妹・Janet真夢叶による大阪出身の兄妹ポップラップユニット・ぺろぺろきゃんでーが1st EP『CANDY POWER』を発表した。 【写真を見る】ぺろぺろきゃんでーのJanet真夢叶、SUNNY-PLAY 2021年にTikTokで活動を開始すると、「低音女子」=Janet真夢叶の歌唱・ラップと、「天才兄者」=SUNNY-PLAYの楽曲制作動画が話題を呼び、一躍注目を集める存在に。2023年にリリースした「話題のGAL」はバイラルヒットを記録し、ネガティブをポジティブに変換する「ギャルマインド」は2人の代名詞となっている。 「自分の好きに、わがままに生きる」ことを肯定する初のEP『CANDY POWER』は、ネクストシーズンの始まりを告げる作品だという。そこで音楽専門媒体初となる今回のインタビューでは、改めて「ぺろぺろきゃんでーとは何者か?」を探るべく、それぞれの音楽的・思想的なルーツから、現在のモードまでをじっくりと語ってもらった。「いつか2人が夢を叶える瞬間を一緒に見届けたい」。そんな風に思わずにはいられない、愛すべきキャラクターの兄妹である。 ・否定された低音ボイスを個性に ―ぺろぺろきゃんでー(以下、ぺろきゃん)はもともとSUNNYくんが真夢叶さんを誘う形でTikTokでの活動を始めたそうですね。 SUNNY-PLAY:もともとバラで活動してまして、僕は僕でラップのグループにいて、そこでビートを作ってラップもしてたんですけど、一旦休憩みたいな時期に実家に戻ったんです。そこから1年間ビートメイクをやってみて、1人で飯が食えるぐらいの額を稼げなかったらもう音楽はやめようと思っていて。それと妹がアイドル的な活動を一旦やめたタイミングが重なって、妹はそのときすでにTikTokのアカウントを持ってたので、「それを使って宣伝になればいいんじゃね?」と思って。コメントをもとに曲を作り始めた中で「色恋沙汰」のサビができて、それを聴いた今のぺろきゃんのプロデューサーの人から「この曲いいから出しちゃいなよ」みたいに言われて、とりあえず出してみたのがスタートです。 ―SUNNYくんはもともと裏方の仕事に興味を持っていて、楽曲制作も音響の勉強のために始めたそうですね。裏方に憧れたのはなぜですか? SUNNY-PLAY:小学生のときにドリカムさんのライブに行って、アンコールが終わってPAさんがブースをばらし始めるのを見て、「あの人らが音を操ってんじゃね?一番かっこええやん」みたいに思って、そこから興味を持ちました。もともと親父がドラマーで、でもいろいろあって、大嫌いなんですよ。だから自分が表に立つ側では絶対に飯食わんぞと思ってたのもあり、裏でサポートするのはめっちゃかっこいいなと思って、そういう学校に行き、勉強してたんですけど……人生ってわかんないもんですね。 ―いつの間にか自分も表に立って、歌ったりラップしたりするようになっていたと。真夢叶さんは宮野真守さんのライブを見て歌手を志したそうですね。 Janet真夢叶:「音楽に携わって生きていきたい」っていう夢は、小さい頃からずっとふわっと持ってたんです。その一方で、アニメも大好きになったんですけど、生きていく上でいろいろあったときに、「きっと自分と同じような境遇の子たちっていっぱいいるよな」と思って、そういう子たちにどうにかして「大丈夫だよ」って言ってあげたいと思うようになりました。そういう中で宮野真守さんのライブに初めて行ったときに、まもちゃんのハピネスパワーに心を打たれて、「この方法があるんだ!」と思ったんですよね。想いを歌に乗せて、パフォーマンスをすることで、寄り添うことができると気づいて、そのときに「私はこれで生きていく」って決めました。ただそこからはずっと手探りで、オーディションとかも受けるけど、「君は向いてないよ」とか「もっと高い音で歌わないとダメだよ」とか言われ続けてたんです。それで「この業界は無理なのかも」ってなってたんですけど、お兄ちゃんとTikTokをやってみたら、「声が低いのがいいですね」みたいなコメントをもらうようになって、「この声いいんだ!」って気づいて。 SUNNY-PLAY:ラップの曲って何でもありじゃないですか。クラシックでもロックでもポップでもいい。そういうのが好きだし、声も海外にはいろんな人がおって、低い人も高い人もおる。僕はわりと低いノートでメロディーを作るんですけど、妹が高く出そうとしてるのが当時意味わからなくて。「なんでそんな頑張って高く行こうとすんのやろ」みたいな。僕は低いのでかっこいい曲作れるぞっていうのもあったから、そっちで行ったら面白いのになと思って。 ―時代によって多少波はあるけど、やっぱりJ-POPはどちらかというと高音が求められる世界ではありますよね。 Janet真夢叶:いまだに言われるもんな。声低く歌ってたら、「高く歌えないの?」とかって。今はそういうのに対して、「なんで高く歌わんとあかんみたいになってんの?好き勝手するのが音楽ちゃうの?」みたいな、ちょっと尖った部分もあります。 SUNNY-PLAY:ほんまそういうのはひっくり返してやりたいですよね。高いのも出そうと思ったら出ると思うし、低いのってシンプルに難しいんですよ。だから低くても説得力のある声のかっこよさを、ポップスで提示できればなと思ってやってますね。 ―もちろん日本にもいろんなシンガーがいて、それこそR&Bのシンガーとかラッパーだったら低い声が魅力的な人はいるけど、キラキラしたポップな曲調にこの声を合わせるオリジナリティはぺろきゃんの強みだなと思います。 SUNNY-PLAY:そこはあえてやってるというか、僕らがそういうガチガチのR&Bとかヒップホップみたいな曲をやったら、多分僕が聴く側だったらつまらないと思うんですよ。まんますぎて、「でしょうね」みたいな。そういう人たちはもういはるから、逆にポップスのサウンドに近い音のほうが、「え?なに?」みたいになるかなと。困惑する方が面白いからあえてやってますね。