ノアとDDTの全面対抗戦に発展か 拳王と青木真也の抗争から大きな火柱に期待
【柴田惣一のプロレス現在過去未来】
ノアとDDTの全面抗争に発展か? ノア・拳王とDDT・青木真也の対立に火がついた。ともに団体のトップグループで活躍する中心選手とあって、今後の展開に注目が集まっている。 【動画】青木の宣戦布告に拳王ブチギレ……タッグ戦が電撃決定! 拳王はGHCヘビー級王座を3回、獲得した猛者。その舌鋒は鋭く、現在はオールレベリオンの参謀格として現GHC王者の清宮海斗をサポートしている。 青木は第83代KO-D無差別級王者として、今年2024年の8月から11月までベルトを巻き3回の防衛を果たしている。 両者はいわば両団体の顔の一人であり、現王者に負けるとも劣らないファンの支持率を誇っている。 しかもともに格闘技にも精通。拳王は日本拳法の世界チャンピオンで、青木はDEEP、修斗、PRIDE、DREAMなど様々な格闘技イベントで実績を誇り、現在も二刀流で活躍している。 さらに拳王同様に、青木もその独特の言い回しで対戦相手を翻弄し、ファンをうならせている。舌戦も見ものなのだ。 SNSなどで丁々発止やりあっていた2人は、DDT11・23東京・後楽園ホール大会で対峙した。青木が「1月1日、ノアの(東京・日本)武道館に拳王を討ちにいく」とマイクアピール。すると怒号を上げながら拳王が突如現れた。 ロープをはさんで言葉でぶつかり合う両者。拳王にノア元日決戦乗り込みを拒否された青木は、DDT12・28東京・両国国技館大会での対戦を迫る。 拳王は「こんな安っちい、汚いリングにあがるわけねえだろ」と何とも拳王らしい一言。続けて「総合格闘家の青木真也はまだしも、DDTの青木真也は何ともチープに見える」と追い打ちだ。 もちろん青木も黙ってはいない。拳王が連れていた大和田侑を11秒で退ける実力行使。「証明しよう。俺たちは下じゃない。同じでもない。俺たちが一番面白くて一番強い」と言い放った。そして12・28両国決戦で、青木、中村圭吾組vs拳王、大和田組が決定した。 DDT12・1東京・品川大会で青木は中村と6人タッグマッチで対戦。打撃を打ち合いフルネルソンから押さえ込んだ。中村の闘志を確認し「12・28では頑張ろう」と絆を深めている。 12・28決戦前にはONE Fight Night 26(12月7日、タイ・バンコックのルンピニー・スタジアム)でコール・アバテ(米国)とグラップリングマッチも控えている。二刀流戦士で活躍する青木らしく決戦の日に向け邁進する。 拳王もノア12・1東京・新宿大会で谷口周平を一蹴し「2025年はノアの設立25周年記念イヤー。1・1日本武道館大会では、一番、ノアが似合っている男と対戦と闘う」と表明。「想い人」とのスペシャルシングルマッチが決まった。 拳王のノアと青木のDDTは、同じサイバーファイトグループ。17年にDDTが、20年にノアがサイバーグループ入りした。経営母体は同じでも、当初はリング上では交わらないとしていた。 とはいえ、ファンの後押しもあって交流戦も実現している。22年6・12「サイバーフェス」さいたまスーパーアリーナ大会では、DDTの王者だった遠藤哲哉が当時、ノアの一員だった中嶋勝彦の張り手に失神させられるという事件も起こっている。 メジャーの一翼を担うノアと独自路線で確固たる地位を築き上げたDDT。同じグループとはいえ両団体のプロレス観やファイトスタイル、文化には違いがある。 ノアは「俺たちこそがサイバーファイトの中核」と言いたいだろうが、DDTにしてみれば、経営危機に陥っていたノアを受け入れ「救った」との考えがある。 拳王が「安っちい、汚いリング」そして青木が「俺たちが一番面白くて一番強い」と言うのは、両団体の根底に流れる空気感を見事に言い表したものだ。 かつて新日本プロレスが全日本プロレス、UWF、WARなどとの対抗戦で人気を集めた。交流戦ではなくやはり対抗戦。お祭り的な交流戦も楽しいが、お互いのプライドや団体の威信をかけて闘う対抗戦は選手もファンも熱く燃える。それも局地戦争ではなく全面戦争。ファンの期待はそこにあるのではないか。 今回は拳王と青木のタッグ対決が実現するが、これで収まるとは思えない。両者の一騎打ちどころか全面戦争の火柱が楽しみになってきた。師走に入りこれから本格的な寒い冬。だがリングの上は灼熱の激しい闘いが繰り広げられる。必ずやファンの心を熱くしてくれるはずだ。 <写真提供:DDTプロレス>
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