ソウル上空で北朝鮮のドローンが自爆する日【コラム】
安価なFPVドローンは北朝鮮をはじめ、貧しくて孤立した組織にとってとりわけ有用だ。ガザ地区のイスラム武装組織ハマスが代表的だ。昨年、ドローンを送り込んでイスラエルの最先端セキュリティーシステムを無力化し、戦争の口火を切った。民間のドローンに爆弾を積み、通信塔・管制塔・武器庫を同時多発的に破壊することに成功した。また、別のイスラム武装勢力フーシが、紅海で西側の船舶を攻撃するのに使っているのもドローンだ。米国が撃墜してはいるが、2000ドル(約31万円)相当のドローンを落とすのに1発200万ドル(約3億1000万円)を超える防空ミサイルを撃つのだから、損失は大きい。 これらイスラム武装組織の「後ろ盾」であるイランは、ロシアにもドローン支援を行ってきた。北朝鮮はロシア派兵を通して、ロシア・イラン・ハマス・フーシとつながるドローン連帯に自然と合流することになった。「北朝鮮軍がロシアでドローン訓練を行っている」という国家情報院(韓国の情報機関)の報告は、だからこそぞっとする。北朝鮮がロシアから学び、FPVドローンをソウル上空で自爆させただけでも、経験したことのない恐怖が広まるだろう。汚物風船とは次元が違う。 防衛産業先進国だからなのか、韓国は「弱者の武器」に感じられる戦闘用ドローンの開発には熱心ではなかった。北朝鮮の派兵を機に韓国政府が計画しているウクライナ参観団の派遣は、戦争の構図を変えたFPVドローンの戦術をウクライナ側からうかがい見て急速に追い付くチャンスになり得る。西側の多くの国も、同じような方式でドローン戦争を学んでいる。その国々では、「戦争ごっこ」うんぬんと言って野党が足を引っ張ることはない。 キム・シンヨン国際部長