干上がったアマゾン大丈夫?―流域の乾燥化と熱帯林の減少が地球温暖化を加速する
2000年から2022年に世界の原生林が12%失われた
米国の世界資源研究所(WRI)がグーグルなどの企業や大学、研究所などと連携するグローバル・フォレスト・ウォッチ(GFW)によると、2000年から2022年の間に世界の原生林は、12%、1億5,500万ヘクタールが失われた。減少速度も加速しており、2000~2013年に年平均710万ヘクタールだったのが、2013~2020年には900万ヘクタールと加速している。 GFWは、「この手付かずの森林景観が減少している主な要因は、木材搬出・石油や天然ガス採掘のための道路建設、農地開拓、火災である。残された手付かずの森林のうち、なんらかの法的保護下にあるのは36%に過ぎない」と警告している。ちなみに原生林の最大国は1位がカナダ、2位がロシア、3位がブラジルである。 では、この傾向が続くと、どうなるのか。
アマゾンは2035年にCO2の吸収量がゼロに
2020年5月、英国の科学誌ネーチャーに掲載された地球温暖化の影響を研究するベルギーなどの国際チームの研究がこんな推定をしている。破壊されていないアマゾンの原生林321箇所とアフリカの原生林244箇所の樹木の直径、高さ、密度などを分析、2014年度までの半世紀のデータ分析と、地球温暖化のモデルを組み合わせ、CO2の吸収量の変化を予測した。 それによると、アマゾンは1990年頃をピークに吸収量が減少し、2035年にゼロになり、それ以降は排出量の方が多くなった。アフリカは2030年の吸収量が2010~15年に比べて15%減少した。この論は地球温暖化による干ばつで枯れた影響を見ており、違法伐採や野焼きなどの影響を見ておらず、アマゾンの原生林がより深刻な状況にあることを裏付けている。
また、2020年1月、米国の科学誌サイエンス・アドバンスに米国とブラジルの研究チームは、アマゾン南部で一層の伐採が行われると、2010~2050年に熱帯林の最大16%にあたる22万3,000平方キロメートルが失われ、最大170億トンのCO2などの温室効果ガスを排出する可能性があると発表した。気候変動によって干ばつの頻度や規模が大きくなるとし、火災は1ヘクタール当たり20~60トンの炭素を排出するという。 アマゾン保護を打ち出したブラジル政府は、2年後のCOP30を先住民が多数暮らすアマゾンのベレンに誘致した。日本をはじめ、先進国は、それにどう答えようとしているのか。 ※*引用参考文献 『選択』2024年1月号「アマゾン川が干上がる恐怖」 読売新聞2020年5月21日夕刊7頁「アマゾンCO2排出源に」 同2023年12月12日夕刊9頁「温暖化アマゾン干上がる」 朝日新聞2020年1月11日朝刊29頁「アマゾン南部『温暖化で火災激化』」 同2021年10月3日朝刊3頁「ブラジル干上がる湿地帯」 グローバル・フォレスト・ウォッチ(GFW):The World's Last Intact Forests Are Increasingly Fragmented(https://www.globalforestwatch.org/blog/insights/worlds-last-intact-forests-are-becoming-increasingly-fragmented/?utm_campaign=intactforests&utm_medium=bitly&utm_source=MonthlyRecap)
編集:エコトピア|リサイクルや環境問題に関するwebメディア