西日本豪雨で約半数のかんきつ農家が園地失い…爪痕残る「興居島」に学ぶ災害に強い地域づくりとは
南海放送
西日本豪雨は、瀬戸内の島しょ部にも大きな爪痕を残しました。「災害の経験を生かしていきたい」。災害に強い地域づくりを進めるために、私たちができることとは?
愛媛県松山市の沖合に位置する興居島。およそ1200人が暮らす島は温暖な気候と日差しの恩恵を受け、100年近く上質なミカンの産地として知られています。 しかし6年前の西日本豪雨で…島には11日間でおよそ400ミリのまとまった雨が降り、かんきつ農家のおよそ半数が土砂崩れによって園地を失いました。
なぜ愛媛県は土砂災害が起きやすい?
全国各地で発生した土砂災害のメカニズムなどを研究している愛媛大学の木村助教。西日本豪雨では、宇和島や興居島など被災地に足を運び現地調査を行いました。 木村誇助教: 「松山市だけではなく瀬戸内海の島しょ部というのは、多くの範囲が花崗岩が分布している地域になっています。風化してできた土砂がいつでも斜面の上にあるような状態。ひとたび大雨が降ると、斜面が崩れやすいという特徴があります」
木村さんによると、県内は全域にわたり風化しやすい花崗岩や、砂でできた砂岩など土砂災害に弱い地質が数多く分布しているといいます。 「県内色んな所で災害のリスクが高いと言えます」
木村さん: 「あの山が小富士です。興居島の中でも特に標高が高いエリアになります」 この日、木村さんが向かったのは興居島。 「小富士から周辺に急斜面が続いている。そういう地形の条件がありますので土砂災害の危険性も高かった」
去年の大雨でも土砂崩れ被害に…その要因は
かんきつ農家 田中祐二さん: 「土砂崩れがあった時、僕そこのカーブの所にいたんですよ。朝5時半頃」 興居島で3代にわたり柑橘を栽培している田中祐二さん(51)。 去年6月30日から7月1日にかけ、停滞する梅雨前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、興居島では一晩で発達した雨雲が次々にかかります。 消防団として、みかん山に水路の様子を確認しに来た田中さん。 田中さん: 「慌てて下におりていったんですよ。そしたら2波3波とドーンドーンときて」