日本のDXを先頭で進める、デジタル大臣・河野太郎 2年間を振り返る
「便利で安全」なマイナンバーカードを普及させる
■「便利で安全」なマイナンバーカードを普及させる 2023年には、健康保険証や公金受取口座などの情報のうちの一部が、本人のマイナンバーに正しくひも付けられていないケースが確認された。 このトラブルを踏まえて、昨年6月にはデジタル大臣を本部長として、デジタル庁が関係府省と連携して政府全体で総点検と再発防止を徹底するための「マイナンバー情報総点検本部」を設置した。 河野大臣は「マイナンバーカードについては、今後改善すべき所は徹底的に直す」と断言するが、一方では「ゼロリスクはない」という認識を念頭に持ちながら、発展的にサービスの改善を目指すことの重要性を説く。 「例えば、これから自動運転の先端技術を社会実装する段階では、初めからゼロリスクを求めることは困難だと考えています。現在の交通事故の発生原因は多くがヒューマンエラーによるものです。特にご高齢の方が自動車を自身で運転する際に高いリスクがともなうことを考えれば、段階的に自動運転を拡大することがヒューマンエラーによる交通事故を減らすことにつながる。広い視野に立ち、技術で置き換えられるものは積極的に採り入れながら安全な暮らしを追求することが肝要です」 2021年にデジタル庁が設立されてから、DXの成果は日々の生活の中にも勢いよく浸透している。その一例にVisit Japan Webがある。 「Visit Japan Webとは、海外に渡航した日本人がウェブから入国に関するさまざまな手続を事前に登録して、スムーズな入国に役立てられるサービスです。デジタル庁が開発を手がけて、国土交通省、財務省、出入国在留管理庁、あるいは全国の空港と連携しながら利便性の向上を目指して細かな微調整を行ってきました。サービスの開始当初は使いづらさを指摘する多くのご意見を賜りました。現在では海外から入国される方のほか、日本に帰国される方から好評価をいただいています」 私は海外出張に出かけることも多いが、たしかに「Visit Japan Web」のサービスが使いやすくなっている。