社員の高齢化が進むなか…企業のガバナンス機能を高める「内部監査」に期待が高まるワケ【経営コンサルタントが解説】
要となるマネジメント機能
マネジメント機能では、まずコミュニケーション・パイプの再設計を行った。決裁権限のあり方を踏まえ、計画方針・ヒト・モノ・カネの切り口から、組織として意思決定が必要な事項を選定し、意思決定に必要な会議体および会議体間の連携を再設計した。 そのうえで、業績マネジメントは経営会議と営業会議で効果的に実施されることが決まった。また、グループのシナジー効果を高める狙いで、若手社員を中心に「グループ営業プロジェクト」も同時に立ち上がった。 次に、資金マネジメントでは、キャッシュ状態が適正水準から外れている際には、ホールディング会社の管理部門で対策を検討することになった。グループ全体最適を価値判断基準として重視し、余剰資金と資金不足の調整機能が整理された。 人材マネジメントでは、早期の人材育成と人事交流を目的に「グループ横断型の人事異動」がルールとして整理された。グループ戦略における配置変更、モチベーションの維持、不正の未然防止が期待され、シナジー効果を最大化させるための取り組みの一つとなっている。 これらの取り組みによって作り上げられた「A社グループ経営ブック」は、A社グループの持続的な成長に向けての重要な社内ルールブックとなった。将来的にM&Aなどでグループインする会社にもスムーズに展開できる。今回の取り組みにより、A社グループのさらなる成長を支える組織基盤が整ったといえるだろう。 阿部 和也 株式会社タナベコンサルティング 執行役員 金融機関にて融資審査や経営改善支援等の担当を経て、株式会社タナベコンサルティングに入社。「企業は人なり」を信条に、現場力を高める取組みと収益構造を重視したコンサルティングを展開。特に、成長戦略の構築から展開までの実践的なサポートが強み。企業体質を革新する独自のノウハウを活かし幅広く活躍している。
阿部 和也