社員の高齢化が進むなか…企業のガバナンス機能を高める「内部監査」に期待が高まるワケ【経営コンサルタントが解説】
グループ経営の利点は、単独の事業では達成できない成果を生み出せるという点にあります。シナジー効果を最大化させるには、どのようなアプローチが重要なのでしょうか。事業承継を見据え、グループ経営におけるルールを明確にして持続的な成長を目指すA社グループの事例を紹介します。株式会社タナベコンサルティングの阿部和也氏が解説します。 世界「軍事力」トップ50…軍事費/軍事費GDP率1~50位<2021年>
グループ企業の価値を高める経営手法
A社グループは、建設用資材の卸売や小売業、サービス業など多角的な事業を展開しており、ここ数年間でM&Aによって会社数も増加している。しかし、それぞれの会社では従来の業務運営が続けられており、非効率な仕事や重複する業務が発生するなど、さまざまな問題が顕在化していた。 そこで、当社とともに「グループで持続的に成長していくためのルールを決め、それを『A社グループ経営ブック』として明文化し、全社員で共有化する」プロジェクトをスタートした。 A社グループでは、M&Aによって事業会社が増えていたが、当初想定していた「シナジー効果」が発揮されないという課題に直面していた。各事業会社が従来の事業運営を優先することで、グループ全体最適ではなく、部分最適になっていたことが最大の要因だった。 そのため、グループ経営に求められる5つのテーマを設定し、全体最適の戦略、迅速な意思決定、マネジメントの高度化を目的として、A社グループの幹部社員と当社がプロジェクトとして進めていくことになった。 〈5つのテーマ〉 (1)グループ理念 (2)シェアードサービス機能 (3)経営企画機能 (4)ガバナンス機能 (5)マネジメント機能
ゴール設定と認識の共有
プロジェクトのゴールは「グループ経営ブック」の策定と設定した。この「グループ経営ブック」は、A社グループが世代を超えて発展し続けるために、組織の基本的な運営や意思決定ルールを定めたものであり、多事業に携わるグループ全社員が遵守すべきガバナンスやマネジメント、シェアードシステムのルールを明文化したものである。