尹大統領〝立件の可能性高まる〟韓国で前国防相の逮捕状請求 検察が内乱「首謀者」と判断し包囲網 メディアは北朝鮮が図ったとも
韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「非常戒厳宣言」を一時宣布してから10日夜で1週間となるなか、尹氏の包囲網が狭まっている。韓国検察は内乱容疑などで拘束していた金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防相の逮捕状を請求した。逮捕状には「尹大統領らと共謀して内乱を引き起こした」と明記しており、尹氏が首謀者として立件される可能性が高まった。 【写真】拘束された金氏 警察や政府高官の不正を担当する「高官犯罪捜査庁」も捜査に乗り出した。同庁の要請を受け、法務省は9日、尹氏を出国禁止とした。現職大統領としては極めて異例の措置だ。与党「国民の力」は、尹氏が今後「外交を含め国政には関与しない」と述べた。 金氏は、違憲で違法な戒厳令を尹氏に建議し、部下に国会や中央選挙管理委員会に兵力を投入するよう指示した疑いが持たれている。ソウル中央地裁が10日、逮捕の可否を決定する。 聯合ニュースによると、検察は金氏について内乱の首謀者ではなく、内乱に関して重要な任務を行った容疑を適用した。尹氏が首謀者だと判断しているもようだ。韓国の大統領には不訴追特権があるが、内乱罪は例外に当たる。 金氏は尹氏と同じ高校出身で側近だった。警察は金氏の自宅や国防相執務室を家宅捜索。戒厳宣言時の金氏の通話記録なども調べている。 複数の韓国メディアは、金氏が3日の戒厳宣布の1週間前、北朝鮮が断続的に韓国に飛ばしている「ごみ風船」の発信元を攻撃する案を韓国軍関係者に提起したと報じた。北朝鮮との緊張を高め、戒厳宣布が必要な環境の整備を図った可能性があるとした。