【インタビュー】阪神・村上頌樹 進化し続けた投球「毎試合、勉強しながら投げている感じだった。むしろありがたくて面白いと感じていた」
全力で投げない日をつくる
笑顔を絶やさない村上。だが試合前は緊張することもあるとか
この25歳の若者が、今季先発ローテに入っていなかったら、阪神の18年ぶりの「アレ」はどうなっていただろうか。現在防御率1位(1.68)。この男が投げれば負けないし、打たれないという信頼感が強かった。先発で先頭を走り続けた右腕に、1年間の成長について語ってもらった。 取材・構成=椎屋博幸 写真=早浪章弘、BBM 今季、すい星のごとく現れた。2年連続二軍では最優秀防御率、最高勝率のタイトルを獲得し、今季を期待されていた。しかし、その期待以上の活躍を見せ「村上が投げたら負けない」という信頼まで勝ち取った。初めての一軍での生活、1年間、先発で勝ち続けるために何が必要なのか、を先輩たちに聞き、自分のモノにして、疲れを見せることなく投げ切った。 ──リーグ優勝おめでとうございます。 村上 ありがとうございます。うれし過ぎて……良かったです。 ──優勝の余韻が残る中ですが、今季の投球を振り返っていただきたいです。その前に、村上投手はポジティブな性格ですか。いつもマウンドで余裕を持って立っている感じがあるので。 村上 どっちもあるんですよね。登板前日はネガティブなんです。打たれたらどうしよう、という感じで。マウンドに上がる直前もめちゃくちゃ緊張しています。前回の試合(9月8日の広島戦=甲子園)前もすごく緊張していました。でも、マウンドに一度上がったらポジティブになるんです。 ──マウンドに上がったら人が変わるタイプですか。 村上 打たれたらどうしよう、ということは一切考えないんですよ。どう抑えようか、という感じになります。登板が終わってから3~4日は、平常心で練習に参加しています。オンとオフはハッキリしているほうだと思います。 ──それがいい流れをつくっている。 村上 毎日気を張っていたら疲れますから。西(西勇輝)さんからいろいろ話を聞いて「ずっと全力で投げたらきついよ。練習中のキャッチボールを軽く投げたりなど、試すのもいいよ」という話をしてもらいました。 ──疲れをいかに残さないかということですね。 村上 「夏場はきつくなるから、工夫してやったほうがいいよ」とも言っていただき、オンとオフをつくるようにしていました。その中で試合の登板に向けて徐々に力を入れていくのですが、登板翌日などは完全に力を抜いたメニューにしています。 ──そのことを西勇投手に聞いたのは先発ローテとして回り始めてから。 村上 先発ローテで何試合か投げたあとに聞きました。「すべて全力で投げ過ぎやぞ」って言われまして。「いまはそれで行けるかもしれんし、これで行けると思っているかもしれないけど、夏になったら絶対にきつくなるから、抜けるところは抜いてやらないと1年間、先発で回れないよ。今のうちにそういうのを考えていたほうがいいよ」という感じで言っていただきました。 ──それは4月の段階だったのですか。 村上 5月に入ってからですね。そういうふうに言ってもらえるので、すごくありがたいです。本来なら・・・
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週刊ベースボール