「岡山芸術交流2025」、中田英寿ら30組の参加ゲストが決定。フィリップ・パレーノが指揮、タイトルは村上春樹『1Q84』に触発された「青豆の公園」
フィリップ・パレーノがアーティスティック・ディレクターを務める国際展
3年に1度、岡山市中心部で開催される国際現代美術展「岡山芸術交流2025」のタイトルと12ヶ国30組の参加ゲストが発表された。会期は2025年9月26日~11月24日。 タイトルは「青豆の公園」(英文:The Parks of Aomame)。アーティスティック・ディレクターを務めるフィリップ・パレーノはステイトメントを発表し、今回は独自の表現で新しい形を生み出すアーティストや音楽家、建築家、デザイナー、科学者、作家、思想家たちが世界中から集結し、単なる視覚芸術の展示を超えて岡山の都市空間を現実と想像が自然に交わる場へと変貌させるとした。 参加ゲストは以下の通り。岡山芸術交流2025では、多様な分野からの参加者をその専門性によって区別したくないという、アーティスティック・ディレクターのポリシーにより、今回の芸術交流に参加するすべての人々を”ゲスト”と呼称するという。 1.シェヘラザード・アブデルイラー・パレーノ/ Schéhérazade Abdelilah Parreno(フランス、1979年) 2.マリー・アンジェレッティ/ Marie Angeletti(フランス、1984年) 3.マルティーヌ・ダングルジャン=シャティヨン/ Martine d'Anglejan-Chatillon(アメリカ、1963年) 4.アルカ - アレハンドラ・ゲルシ/ Arca - Alejandra Ghersi(ベネズエラ、1989年) 5.アニルバン・バンディオパダヤイ/ Anirban Bandyopadhyay(インド、1975年) 6.ニコラ・ベッカー/ Nicolas Becker(フランス、1970年) 7.イアン・チェン/ Ian Cheng(アメリカ、1983年) 8.ジェームズ・チンランド/ James Chinlund(アメリカ、1971年) 9.メアリー・ヘレナ・クラーク/ Mary Helena Clark(アメリカ、1983年) 10.マティ・ディオップ/ Mati Diop(フランス、1982年) 11.フリーダ・エスコベド/ Frida Escobedo(メキシコ、1979年) 12.FABRYX/ FABRYX(アメリカ/フランス、2023年設立) 13.シプリアン・ガイヤール/ Cyprien Gaillard(フランス、1980年) 14.ニコラ・ジェスキエール/ Nicolas Ghesquière(フランス、1971年) 15.リアム・ギリック/ Liam Gillick(イギリス、1964年) 16.ホリー・ハーンダン & マシュー・ドライハースト/ Holly Herndon & Mathew Dryhurst(アメリカ、1980年/イギリス、1984年) 17.Isolarii/ Isolarii(イギリス、2020年設立) 18.アレクサンドル・コンジ/ Alexandre Khondji(フランス、1993年) 19.ミレ・リー/ Mire Lee(韓国、1988年) 20.ルクレシア・マルテル/ Lucrecia Martel(アルゼンチン、1966年) 21.中田英寿/ Hidetoshi Nakata(日本、1977年) 22.ハンス・ウルリッヒ・オブリスト/ Hans Ulrich Obrist(スイス、1968年) 23.プレシャス・オコヨモン/ Precious Okoyomon(イギリス、1993年) 24.レイチェル・ローズ/ Rachel Rose(アメリカ、1986年) 25.ディミタール・サセロフ/ Dimitar Sasselov(ブルガリア、1961年) 26.ティノ・セーガル/ Tino Sehgal(イギリス、1976年) 27.島袋道浩/ Shimabuku(日本、1969年) 28.サウンドウォーク・コレクティヴ/ Soundwalk Collective(フランス、2001年創設) 29.ラムダン・トゥアミ/ Ramdane Touhami(フランス、1974年) 30.アンガラッド・ウィリアムズ/ Angharad Williams(ウェールズ、1986年) ステイトメント パレーノによるステイトメントは以下の通り。 タイトルおよびステイトメント「青豆の公園」 (英文:The Parks of Aomame) 村上春樹の小説『1Q84』に登場する謎めいたキャラクター「青豆」に触発された「青豆の公園」が岡山市内にて展開される。相互に結びついたこれらの公園は、現実と空想が交わる場として、青豆の静かな葛藤や二つの並行する世界に生きる複雑な存在を映し出すものとなる。 「岡山芸術交流2025」は、岡山の都市空間を現実と想像が自然に交わる場へと変貌させる。この壮大なプロジェクトは、岡山の公共空間、忘れられた場所、市民公園などを再構築し、驚きに満ちた地図を作り上げる。 この芸術交流は単なる視覚芸術の展示にとどまらない。その核には、独自の表現で新しい形を生み出すアーティストや音楽家、建築家、デザイナー、科学者、作家、思想家たちが世界中から集結する「ギルド」が形成される。 シェヘラザード・アブデルイラー・パレーノ、マリー・アンジェレッティ、マルティーヌ・ダングルジャン=シャティヨン、アルカ、アニルバン・バンディオパダヤイ、ニコラ・ベッカー、イアン・チェン、ジェームズ・チンランド、メアリー・ヘレナ・クラーク、マティ・ディオップ、フリーダ・エスコベド、FABRYX、シプリアン・ガイヤール、ニコラ・ジェスキエール、リアム・ギリック、ホリー・ハーンダン&マシュー・ドライハースト、Isolarii、アレクサンドル・コンジ、ミレ・リー、ルクレシア・マルテル、中田英寿、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、プレシャス・オコヨモン、レイチェル・ローズ、ディミタール・サセロフ、ティノ・セーガル、島袋道浩、サウンドウォーク・コレクティヴ、ラムダン・トゥアミ、アンガラッド・ウィリアムズが参加する。 この多様なメンバーは、岡山を有機と合成、生物と人工物、現実と仮想が融合する実験の場に変える。岡山は考察の場となり、ギルドによって市民や来訪者が異なる瞬間や形態に触れる二か月間が始まる。日中だけでなく夜間もまた、特別な出来事が生起する。 「青豆の公園」は、横断歩道がステージに変わり、広場が交流と回想の場へと変容する、屋外展覧会である。日常の行き交いが発見の瞬間に変わり、トリエンナーレは多様な想像の場面を展開するものとなる。この体験の中心となるのが、街中に点在する作品群をつなぐルート、「青豆の道」である。歩みを進めるごとに、そこには小さくも儚い驚きが待ち受け、都市を巡る中で架空の物語が芽生え進化していく。ある場所で生まれたアイデアが都市空間を通じて成長し、思想や体験が相互に交わり合うことを促すのである。 岡山は単なる背景ではなく、この実験に参加する存在そのものとなる。 それぞれの作品やパフォーマンスは、岡山の都市空間に物語の層を重ね、並行する現実が都市のもう一つの姿を垣間見せる。物語の交差点では、訪問者が都市内で自身のルートを選びながら旅を進めることができる。都市全体が読み取られ、解釈され、書き換えられるテキストのような存在となる。街頭標識や建物の外壁、公共のアナウンスが架空の要素を反映し、都市の実際の歴史と想像の物語との境界が曖昧になるだろう。 市民や来訪者が集い、岡山の住人たちの夢や思いをこのトリエンナーレの物語に織り成していくことが求められる。芸術イベントと日常生活の境目は薄れ、架空のサービスや時のずれ、異なる歴史を記した銘板や碑などが実際の歴史的な記念物と一体となり、街並みに新たな歴史が刻まれるのである。 皆さんとお会いできるのを楽しみにしている。これは、きっと素晴らしい体験となるだろう。 アーティスティック・ディレクター フィリップ・パレーノ/Philippe Parreno 岡山芸術交流とは 「岡山芸術交流」は、岡山市で3年に1度開催する現代美術(コンセプチュアルアート)の国際展で、2016年に第1回が開催。岡山城・岡山後楽園周辺エリアの様々な歴史文化施設を会場に、世界的な現代アーティストの作品が展示される。徒歩で回遊できるコンパクトな会場配置が特色のひとつで、芸術鑑賞と街歩きをともに楽しむことができる。毎回著名なアーティストをアーティスティック・ディレクターに迎えるのも特徴で、これまでリアム・ギリック、ピエール・ユイグ、リクリット・ティラヴァーニャが務めてきた。 2025年の主催は岡山芸術交流実行委員会(会長:大森雅夫 岡山市長、事務局所在地:岡山県岡山市)。総合プロデューサーに石川康晴(公益財団法人石川文化振興財団理事長)、総合ディレクターに那須太郎(TARO NASU 代表)、パブリックプログラム・ディレクターに木ノ下智恵子(大阪大学21世紀懐徳堂准教授)、アーティスティック・トランスレーターに島袋道浩(アーティスト)が名を連ねる。
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