【密着】自然のイルカと過ごしたい…オーストラリアでイルカウォッチングガイドとして生きる娘へ届ける家族の想い
今回の配達先は、オーストラリア。イルカウォッチングガイドの柴田ゆいさん(40)へ、東京都で暮らす母・英子さん(60)、妹・まやさん(37)が届けたおもいとは―。
長年の経験でイルカを探し出し、お客さんと感動をシェア
シドニーから車で3時間。海沿いに広がるポートスティーブンスは、野生のコアラやカンガルー、イルカが生息する自然豊かな港町。ゆいさんが働く「ムーンシャドーTQCクルーズ」はこの地域最大の船舶を所有するツアー会社で、イルカウォッチングを中心に、無人島ツアーや冬のクジラウォッチングなどを企画している。 ゆいさんの仕事は、湾の中を中心に巡るイルカのウォッチングツアー。朝10時になると、3階建て300人乗りというクルーズ船にはツアー客が続々とやってくる。ガイドとしての腕の見せ所が、イルカを見つけること。実はイルカはレーダーなどでは居場所を特定することができないため、ガイドの長年の経験が頼りになるのだ。こうして目を凝らして海を見ていたゆいさんの前に現れたのは、バンドウイルカの群れ。そして船上のお客さんたちに海を泳ぐ姿を案内する。この湾に約140頭生息するバンドウイルカは1頭1頭背びれの形が違うそうで、何十年も見ているゆいさんはどの群れのどの個体かが見分けられるという。そんなイルカウォッチングは、「自分が楽しんでできているものなので、自分にとっては仕事ではない。一緒にお客さんとイルカを見て、『よかったね』という感動をシェアしたい」とゆいさんは語る。
7歳で初めてイルカを見たときから日常がイルカ一色に
ゆいさんがイルカを初めて見たのは7歳の時、家族で行ったイルカショーだった。そこで心を動かされて以来、日常の風景はイルカ一色に。姉妹のベッドルームにはクリスチャン・リース・ラッセンが描いたイルカの画が飾ってあったという。その後も熱は冷めることなく、オーストラリアの大学で海洋生物学を専攻。当初は調教師を目指したが、自由に過ごす自然のイルカと仕事がしたいとの思いからウォッチングガイドになったのだった。 最初はオーストラリアでの様子を心配していた母の英子さんと妹のまやさん。だがガイドとして自身も楽しんでいる姿を見て、まやさんは「おばあちゃんになってもこのままなのかな」と笑う。 実は最初は、まやさんの方が先にイルカに熱を上げていたそうで、寝室に飾っていたラッセンの画も幼いまやさんが「一生分の誕生日プレゼントでいいから」とお願いして買ってもらったものだという。だがその後、姉の“イルカ愛”がどんどん高まり、妹を追い越していったと明かす。