「2時間で低血糖になって死んでしまう子犬も」 ペットオークションの闇に迫る… ルール無視で“やりたい放題”
ルールを守っていない業者の代表格は……
この結果を受け、環境省が「ブリーダーなどの関係団体に法令順守を要請する」としてから約半年が経過した。 「現在は8週齢をきちんと守っている極めて少数の業者とそうでない業者に分かれています。守っていない業者の代表格が、あのハズキルーペの会長が社長を務める『プリペット』というオークション会社。そして“守っていないのではないか”と疑われているのがペッツファーストなのです」(同) プリペットは数あるオークション会社の中でも、大規模なオークションを催す会社である。オークションにはブリーダーから犬や猫が持ち込まれ、ペットショップなどの販売業者が競り落としていく。 プリペットのオークションに参加したことがある関係者によると、 「オークションでは、赤とか白とか色違いのシャツを着た職員が同時に6頭ほどの犬猫を見やすいように掲げ、バイヤー側はタブレットを操作して競り落とすかどうかを決めます。オークション会場の客席の最前列には大手ペットショップのバイヤーたちが陣取り、彼らの足元には競り落とした犬猫が入った小箱が積まれていき、それがたまると外に運ばれていきます」
「1時間で低体温に、2時間で低血糖になって死んでしまうことが」
今年6月、プリペットがオークション会員に向けて出した〈オークションメンバー規定 改定のお知らせ〉と題する文書が手元にある。そこには、〈門歯が出ていなくても出品は可能です〉とはっきり記されている。 門歯というのは前歯のことで、生え始めるのは大体4週齢ごろ。つまりプリペットは4週齢に達していなくても出品可能、と言っているのだ。これでは究極的には生まれたての子犬だって出品できることになる。 先の動物愛護関係者が言う。 「門歯が生えていない状態で母犬から引き離して流通に乗せると、何もしなければ1時間で低体温に、2時間で低血糖になって死んでしまうことがある。2時間~4時間に1回程度は授乳させないといけないし、体も温めてあげなければいけない。そうしたことから元々業界の自主規制として、流通に出すのは門歯が生えてからというルールがあったのにプリペットはそれすら守っていないのです」 幼い子犬のほうが出品までの飼育日数もコストもかからない。そのため、「ブリーダーたちはプリペットのオークションを利用するようになります。こんなことを放っておいたら、法令を守っている他のオークション会社は全部つぶれてしまう。正直者がバカを見る、という状態になっているのです」(同)
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