「純金積立は手数料が高いからやめとけ」と言われるが…ちゃんと計算して判明した「意外な真実」【FPが解説】
「純金積立は手数料が高い」ってホント?
桃太郎:「純金積立は手数料が高いからやめたほうがいい」ってネットにたくさん書いてあるよ。 かあさん:人様の手を煩わせるからね。無料はないわよ。でも、純金積立が割高とは限らないのよ。では投資信託で金を買うコストと比べてみましょう。投資信託で金を買う方法をお話しするわね。 桃太郎:純金投資信託ね……。 かあさん:[図表2]を見て。純金に投資する投資信託とETF(上場投資信託)を載せておいたわ。見てほしいところは、手数料のところね。まず、一番上の投資信託を見て。購入時手数料は1.1%かかります。 桃太郎:うん。 かあさん:投資信託だから、運用管理費用がかかるのを忘れないでね。1年あたり運用管理費用が0.99%ということは、1年間で購入時手数料との合計は2.09%にもなるの。2年目は合計3.08 %と、驚きの高額手数料になるわ。 手数料を比べるときは、1年間で考えても意味がないの。たとえば、この純金投資信託を30年持っていた場合に引かれる運用管理費用は約34%にもなるわ。 【運用管理費用の計算】 (1+0.0099)30乗=1.3438…… ⇒ 約34% 桃太郎:金の投資信託でも運用管理費用がかかるの? 別に銘柄を選ばないよね? 金一択だよ。 かあさん:投資信託のしくみを利用して金融機関が儲けるのよ。投資信託を買うなら手数料を払う。「三菱UFJ純金ファンド」の目論見書を見るとね、運用管理費用は年0.55%って書いてあるわ。じゃあ、なぜ私が表に運用管理費用を0.99%って書いたのかを発表しまーす! 桃太郎:オーバーだな……。 かあさん:この商品の目論見書の数字は0.55%。でも、でも実体は0.99%。なぜならこの商品は、2番目に書いてある「純金上場信託」で運用しているの。だから、「三菱UFJ純金ファンド」の0.55%と「純金上場信託」の0.44%を合計すると、0.99%になりまーす! 桃太郎:えー!? ぜんぜん手間がかからないよね? かあさん:だから、広告宣伝費とか、給料とか、事務所などの経費と儲けね。0.99%がいやなら、「純金上場信託」ETFを直接、買おうね。ETFなら証券会社を選べば基本的に購入時手数料はかからないわ。2段目の「純金上場信託」の運用管理費用は、0.44%。30年で14%と投資信託より低くなるでしょ。 【運用管理費用の計算】 (1+0.0044)30乗=1.14077…… ⇒ 約14% 桃太郎:投資信託よりは安い。 かあさん:ももはさっき、証券会社に口座を開くのはハードルが高いっていったでしょ? 実はほかのみんなも同じことを思っている。だから、この投資信託はそんな人のために親切に銀行でも買える商品を作ってくれたのよ。 桃太郎:うそばっかり……。ETFを買えば0.44%ですむのに、金融に疎い人から手数料を取り上げようとしてこの投資信託を作ったんでしょ! かあさん:バレたか……。運用管理費用をもっと安くしたいなら海外ETFがいいわね。ちょっと上級者向けだけど。「SPDRゴールド・ミニシェアーズ・トラスト」の運用管理費用(経費率)は、0.13%よ。30年では、約4%かな。 【運用管理費用の計算】 (1+0.0013)30乗=1.03974…… ⇒ 約4% 純金積立は購入時の費用が高いけど、買ったあとは手数料がかからないの。ね、長い目で見ると純金積立の手数料が高いわけではないのよ。 横川由理 ファイナンシャル・プランナー ※本記事は『知らなきゃ損! インフレってなに?』(自由国民社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
横川 由理