記録的な転換社債ブーム、アジアを席巻-ヘッジファンド殺到
(ブルームバーグ): 株式に転換できる債券がアジアで大流行している。高金利環境の下で低コストで資金を調達する手段として、転換社債型新株予約権付社債(CB)への注目が高まっている。
ブルームバーグがまとめたデータによると、5月はアジア企業がドル建てのCBを通じて90億ドル(約1兆4000億円)以上を調達し、同地域として過去最高を記録した。アリババグループやJDドットコム(京東)、聯想集団(レノボ・グループ)のCBが調達額の大半を占める。
欧米ではすでに一般的なCBだが、アジアでも資金調達手段として人気が高まっている。CBは直ちに株式を希薄化させることなく自社株買いなどの資金を低コストで調達する柔軟性を提供。アリババとJDドットコムは巨額の自社株買いを計画している。ヘッジファンドにとっては、債券と株式の裁定取引を行うチャンスだ。
アジア太平洋地域のバンカーは、さらなるCB発行に備えている。中国株の持ち直しと日本のマイナス金利終了は、これらの市場をCB発行に特に有利にしている。
HSBCホールディングスのアジア太平洋地域担当グローバルバンキング責任者クリスティナ・マー氏は、「社債やローンといった伝統的な資金調達方法は、金利が高いため今はあまり魅力がない。CBを通じて実質的にコストゼロで資本市場にアクセスできる大きな流動性のある企業がもっと市場に出てくると思う。そうした企業にとってCBは魅力的だろう」と話した。
CBは借り入れコストが高い時期に人気が高まる。株式部分があるため、通常、普通の社債よりも金利が低いためだ。また、投資家は株価が上がれば株式に転換することで利益を得られる。
強い需要
過去2年間の低迷から立ち直り始めたばかりの中国の大手企業にとって、CBは政府の資本規制に抵触することなくドル資金にアクセスする手段だ。ドルは米国預託証券(ADR)の買い戻しに役立つ。アリババとJDドットコムはCBで調達した資金の一部を米国での自社株買いプログラムに充てるとしている。