JPEGに代わる? 新しい画像フォーマットBPGとは?
私たちがウェブでよく目にする画像は、「JPEG(ジェイペグ)」と呼ばれる画像フォーマットが主流になっています。これでも不自由はないのですが、「JPEGの半分のファイルサイズ以下で同じ画質を実現する」と話題になっている、ちょっと気になる画像フォーマット「BPG」が誕生しました。これはどういうものなのでしょうか?
JPEGに置き換わるフォーマットとして提案
BPGは、Better Portable Graphicsの略で、フランスのプログラマFabrice Bellardさんが2014年に提唱した新しい画像フォーマットです。画像フォーマットというのは、パソコンやスマートフォンで画像を表示させるために作られた画像作成のルールのことを言います。動画圧縮技術であるHEVCのサブセットとして開発され、最終的に、現在もっとも普及しているJPEGをBPGに置き換えることを目的としています。 画像のフォーマットには、いろいろな用途に応じた種類があります。ディスプレイ表示に最適でサイズが圧縮できるJPEGをはじめ、圧縮しないBMP(ビットマップ)、透明な部分が表現できるウェブページ向けのPNG(ピングあるいはピン)などです。 いまJPEGフォーマットは、ファイル容量をとても小さくできるのでサクサク表示できる、フルカラー写真を見るのに最適であるといった特徴があります。しかし、写真を大きく美しく見せたいと思った場合、これに比例してファイルサイズがどうしても大きくなってしまうというジレンマをJPEGは抱えています。
JPEGの半分のファイルサイズで同じ画質を実現
Bellardさんが提唱しているBPGは「 JPEGと同じような画質なら、はるかに小さなサイズを実現する(Files are much smaller than JPEG for similar quality)」とうたっているのが大きな特徴です。同じ画質でも、ファイルサイズが小さくなると、特に3GやLTEで通信するスマートフォンなどでは、よりストレスなく画像が見られるようになるでしょう。通信容量が少なくなる分、通信料金が安くすむなど良い影響が出るかもしれません。そういう意味ではスマートデバイス時代に合ったフォーマットと言えるでしょう。 画像の縦横の大きさはそのままに、元画像よりもファイルサイズを小さくすることを「圧縮」と言います(縮小とは違います)。JPEGは、元画像の情報量を減らしてファイルサイズを小さくするという圧縮方法を採用しています。情報を減らしてファイルサイズを小さくするということは、画質が劣化してしまうということと同じ問題です。元画像の品質に戻らない圧縮方法なので、これを「非可逆圧縮」とか「不可逆圧縮」と言います。 これに対して、「非可逆圧縮」ほど効率的に圧縮できないものの、元画像と同じ画質に戻すことができる圧縮方法を「可逆圧縮」と言います。「可逆圧縮」に対応した画像フォーマットには、GIF(ジフ)やTIFF(ティフ)があり、BPGはこの可逆圧縮に対応しています。BPGは、「非可逆圧縮」のみならず、「可逆圧縮」にも対応しているというわけです。 JPEGとBPGの比較において、BPGの優位性が際立つのは圧縮率を高くした場合でしょう。Fabrice Bellardさんのサイトでは、JPEGと不可逆圧縮されたBPGの画像が並べて掲載されていますが、これを見ると、ほぼ同じファイルサイズであるのに、BPGにはブロックノイズが出ず、鮮明に再現されていることが分かります。 また、両者を実際に比較できるサイトで試してみると、ファイルサイズを小さくすればするほどBPGの画質が優れているということが一目瞭然です。空のグラデーションや人物の顔では、JPEGだとノイズが目立ちますが、BPGは気になるようなノイズは見当たりません。 また、Exif(イグジフ)やCMYKなどにも対応しているのも特徴です。Exifはデジタルカメラで撮影した際、画像に埋め込まれるシャッタースピードや露出などの情報で、CMYKは印刷用に最適化された色データのことです。このほかグレースケール(白黒画像)やアルファチャンネルといった色空間情報も保持できます。