北朝鮮の“なりすまし装備”が展開される可能性も…北朝鮮の“ロシア派兵”韓国にとって“奇貨”となるか
ロシア派兵で「北朝鮮の核ミサイル開発」に拍車?
アメリカのシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)のヴィクター・チャ地政学・外交政策学部長兼韓国担当部長は「金正恩は、…大陸間弾道ミサイル部隊の構築や、原子力潜水艦部隊の構築など、さまざまな能力を構築するという目標を隠していない。生き残りやすい核兵器部隊の開発も目的だ。ヘインズ米国家情報長官は、2024年の年次脅威評価で、ロシアが長年維持してきた核不拡散の規範を放棄するかもしれないという米国政府の懸念を表明した。(北朝鮮の)派兵は、モスクワがそれらの規範を破るきっかけになるかもしれない」(CSIS・10月23日付)との分析を明らかにしている。 つまり、北朝鮮は“派兵”の見返りに、ロシアの援助を得て、北朝鮮が進めてきた核ミサイル開発に拍車がかかるかもしれないということだ。このような事態に、北朝鮮と対峙する韓国はどう対応するのか。 韓国の国情院が前述のプレスリリースを明らかにした後、韓国の尹大統領が、初めて直接会談した外国の首脳は、ウクライナの北西に接するポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領だった。ポーランドと韓国は、さらに間接的にはウクライナも含め、近年、安全保障上の特別な関係を構築してきた。 ポーランドは、ウクライナに侵攻したロシアを警戒し、2022年から韓国のK2戦車やK9自走砲を積極的に導入。その配備が進む中、余剰となったポーランド軍のT-72M型戦車をウクライナ軍に供与するという関係にあった。韓国は、K2戦車をポーランドに1000輌納入する計画であり、そのうち、ポーランド軍の要求に合わせて性能を向上させたK2PL型戦車、約800輌はポーランドで生産されるという。さらに、ポーランド空軍も韓国製のFA-50軽戦闘攻撃機を導入中だ。 つまり、韓国のK2戦車やFA-50軽戦闘攻撃機のメーカーは、ポーランドに要員や設備を送り、韓国軍も要員を送ることにつながるかもしれない。 今回の両国の首脳会談後の記者会見で、尹大統領は「今日の国際安全保障状況は、かつてないほど深刻だ。両国は防衛・防衛当局のための定期的な協議機関を立ち上げ、相互の安全保障と国防に貢献するために協力する方法を模索する」と述べた。 そうだとするならば、ウクライナの北西で500km以上の長さの国境で隣り合うポーランドに、韓国は自然の流れとして軍事情報拠点を構築できるのかもしれない。 だが、核ミサイル計画に拍車を掛けるかもしれない北朝鮮の“派兵”に、韓国はさらに積極的に対応しようとしている。 ウクライナは北朝鮮兵士を収容する施設の計画をうたっているが、ウクライナが収容施設を用意するなら、韓国の政府筋は「北朝鮮の特殊部隊の戦術や戦闘能力を監視するために、人員がウクライナに派遣される可能性がある…派遣されるならチームは諜報部隊の軍人から構成されると予想され、北朝鮮の戦場の戦術を分析し、捕らえられた北朝鮮人の尋問に参加しうる」(聯合ニュース10月22日付)という。 韓国は、「諜報部隊の軍人」の派遣、「尋問参加」で何を得ようというのだろうか。
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